黒岳

2011年5月4日

 GWまっただ中である。この期間の勤務状況はというと、最初の3連休はいつもの休日出勤で、中盤の3連休が完全オフ、終盤の2連休(土日)は土曜日が休日出勤、となっている。3連休はほんとに久しぶりで、となればテント泊を楽しみたいところであるが、黒岳のシャクナゲも気になる。体力があれば3連休でテント泊をし、日曜日に黒岳へ、とするのであるが、今の私の体力ではそれは無理。そこで、天気予報とにらめっこし、3連休の中日にGW恒例のシャクナゲ鑑賞黒岳縦走登山となった。
 いつもより早く起床し予定通り5時40分に黒嶽荘を出発。今日は長丁場でもある上、最近体力が落ちていることも考えて超スローペースで歩く。目当てのシャクナゲは開花が遅れているようで、仙人岩までが見頃。前岳以降はほとんどがまだ固いつぼみの状態だった。
 上台ウツシを越え、厳しい登りもひたすらゆっくり登ることでなんなくクリア。あまり疲れることなく高塚山に到着。山頂で休憩していた熊本のUさんとルートや花の話をする。その後、白水方面へ下ってみるというUさんと別れ、天狗岩へ。黄砂のため展望はイマイチだが、ゆっくり食事とコーヒーを済ませ、下ることにする。
 ところが天狗分かれから少し下ったところで猛者と出会った。すごい人がいるものだ。
 風穴からは花散策。花の開花は例年より1週間ほど遅いように感じた。

男池に自転車を置く→5:40黒嶽荘出発→6:15白水分かれ→6:45仙人岩→7:30前岳→7:40〜7:50展望の良い岩場→8:05上台ウツシ→9:20〜9:35高塚山→10:00〜11:10天狗岩(昼食)→11:50風穴→13:00ソババッケ→14:25男池→自転車で黒嶽荘に下る


いつもより早く起床し車を九重連山へと走らせる。
男池駐車場にはすでに数台の車が停車中。
トランクから自転車を下ろし看板の横に置く。
黒岳縦走ではほぼいつものスタイルである。

車を黒嶽荘へ走らせ、予定通りの5時40分、
黒嶽荘周辺のシャクナゲを見ながら出発。


吹く風が冷たくないことに春を感じつつ歩く。
周囲には新緑が広がる。


登っていくうち、きれいに咲いたシャクナゲが見えてきた。さあ、撮影だ。



きれいな状態の花を見つけるたびに立ち止まって撮影するものだから、なかなか進まない。
でも今日はそれも織り込み済みの早朝出発。焦ることはない。



登るにつれてつぼみが目立つようになってきた。
どうやらまだ標高の低いところしか開花していないようだ。



約1時間で仙人岩に到着。ここのシャクナゲもようやく数輪が咲き始めたばかり。
黄砂の影響だろう、霞みが強く由布岳はかすかに見えるだけだ。

小休憩しているうち、男性2人組が登ってきて同じように休憩。
話を聞くともなしに聞いていると、持参した水の量の話になった。
一人の方は3リットル。なるほど。それだけあれば十分だろう。
対してもう一人は1リットル。それはちょっと少ないかも。
私はと言えば、今日は2.5リットル。
やはり水と食料には余裕を持っておきたい。


一休憩の後、登り始める。


シャクナゲが咲いていないかと見回しながら歩く。
白いムシカリ(オオカメノキ)の花があちこちに咲いていた。


かすかにいい香りがする。
足下に群生していたこの花は何だろうか。


やがて巨石の隙間から冷気が吹き上げる場所にやってきた。
ここはまさに深山の雰囲気を味わうことができる場所だ。


そこを抜けるとすぐに広々と風景が広がる。


広々とした風景もいいが、足下のスギゴケの緑も美しい。


前岳に到着。
山頂からちょっとだけ周囲を見回しただけで通過する。


私がいつも休憩する岩場に到着。
ここでカレーパンを食べるのが私のパターン。


山麓から新緑が少しずつ登ってきている。
淡いピンク色に見えるのは山桜だろうか。


この岩場の周囲の木々はようやく芽吹き始めたばかり。


カレーパンを食べ終え、これから向かう高塚山方面を見る。
ここから何度もアップダウンを繰り返していく。


上台ウツシを通過。
登路の両脇でタイミンガサとバイケイソウが迎えてくれているようだ。


何度も小さなアップダウンを繰り返すうち、このルートで一番のきつい登りにさしかかった。
ここをクリアしなければ高塚山にはたどりつけない。
そこで、焦らずひたすらゆっくり登ることにした。
鼻呼吸ができる状態を保ちつつ、じっくりと登る。
たとえて言うなら「ランニング」ではなく「ジョギング」という感じ。
すると意外なほどあっさりと登り終えることができた。



尾根道にたどり着き、新芽越しに平治岳と三俣山を望む。


これから向かう高塚山(右)がようやく見えた。
左にはその後に行く天狗岩も見える。


高塚山に到着した。黒嶽荘より3時間40分。
もっとかかるかと思ったが、以前とほぼ同じ時間でたどり着いた。


山頂で休憩していた方(熊本から来たUさん)と話をする。
黒岳縦走のルートのことで話をしていると、私が自転車を置くのを車の中で見ていたそうだ。
山麓ではシャクナゲがきれいだったと言うと、じゃあそちらに下ってみようと言って下っていった。
男池から入山したそうなので、白水鉱泉から車道を歩いて戻らないといけないのだが、けっこう大変だったのではないだろうか。



Uさんと別れ、天狗岩へ向かう。


慎重に一歩一歩岩場を登っていく。


山頂に到着し、正面の大船山を望む。


今日は青空ではあるが、黄砂のため霞んでいて遠望できない。
だがこれも自然の一つの姿である。


山頂から「1556天狗」と書かれた岩を見る。
今日はあの岩の上に登ってみようかという考えが頭をよぎった。


すぐそばまでなんとかやってきた。
だがここから上に上がるのはどうしても無理だ。


に登るのをあきらめ、いつものように昼食。
今日はGWなので、ちょっと贅沢に焼き肉定食。
できあがる頃には実にいいにおいが周囲に漂い、
ビールがほしくなって困ってしまった。
せめてノンアルコールビールでも持ってくるんだったな・・・。

ちなみに箸は先週の山行後に大分市の山渓で購入したチタン製の箸。

先端の木製部分はとりはずして収納でき、コンパクトに持ち運びできる。


食後のコーヒーを飲み、下山する。


天狗分かれから少し下ったときのことである。単独行の男性とすれ違った。
「あとどれくらいですか?」と聞いてきたので「もうちょっとですよ」と答えると、
「あ〜よかった。いいかげんきつくなったから・・・」と言う。
「この登りはきついですからね」という私の言葉にその男性が返してきた一言にびっくりした。
「今日は牧の戸から登ってきたんです」
一瞬聞き間違いじゃないか、もしかしたら言い間違いかも、と思って聞き返したが、
やはり「牧の戸から来ました」と言う。
私の頭の中では、今立っている黒岳と牧の戸とが全く結びつかない。
牧の戸から風穴まで、私の知らない近道でもあるんだろうか。
そこでさらに聞いてみた。「今日はどういうルートなんですか?」
すると、「牧の戸から久住山に登りました」「はい」
「で、白なんとか山に行って」「白口岳ですか」「あ、はい」
「そこからなんとか峠に下りました」「鉾立峠ですか」「そうです」
これでこの方が九重連山はほとんど初めてなのだろうと推理した。
説明はさらに続く。
「で、大船山に登って」多分立中山を経由したのだろうと推測。
「そこから下って」「大船山から風穴に下って、そこから今登ってきたんですか」「はい」
なんというルートだろう。これは私の想像を遙かに超えている。
よく見ると、30代と思われる。がっしりしたタイプではない。
穏やかな雰囲気の方なのだが、すごい体力と、そして精神力の持ち主なのだろう。
「牧の戸を何時に出発したんですか」と尋ねてみた。
「3時です」とのこと。するとここまですでに8時間以上経っている。
だが、その方の次の言葉にはまさに度肝を抜かれた。
「今日中に牧の戸に戻らないといけないので」
ここまでのルートでさえ、私にとっては3日分と思えるほどのきつさである。
まさか同じルートを引き返すとも思えないが、たとえば次のようなルートだろうか。
黒岳→風穴→大戸越→坊がつる→北千里浜→久住分かれ→西千里浜→扇ケ鼻分岐→牧の戸
これでも十分すぎるほどの距離である。
だがあとで考えてみると、これだけの距離を歩いてきた猛者であるから、もしかするとこんなルートかもしれない。
黒岳→風穴→大戸越→平治岳→大戸越→坊がつる→白口谷→中岳→天狗が城→久住分かれ→星生山→扇ケ鼻分岐→牧の戸
「今日中に」と言っていたが、はたしてどんなルートで戻ったのか・・・。

帰りのルートも聞いておくべきだったなあ。


さて、私はいたってマイペース。
のんびりと下り、風穴で小休憩。

風穴から男池まではなだらかなルート。
登路脇に咲く花を撮影しながらゆっくり下っていく。



ハルトラノオ


キジムシロ属(ミツバツチグリ?)


シロバナネコノメソウ
うっかりすると見逃してしまいそうな小さな花である。


ソババッケが近づいてきた。


エイザンスミレ


ハルリンドウ


ツクバネソウ


シロバナエンレイソウ


ようやく咲き始めたユキザサ


イチリンソウ


今日一番見たかったヤマシャクヤクは、まだつぼみのものがほとんど。



咲き始めた花をようやく見つけて満足した。


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