中岳・天狗が城・久住山

2012年12月1日

一つお知らせがある。東京新聞発行の登山雑誌「岳人12月号(786)」に掲載された。
2011年1月23日のページを見た編集者からメールが届き、「原稿を書きませんか」との申し入れ。2つ返事でOKし掲載となった次第。
掲載と言っても白黒のわずか1ページなのだが、自分の原稿が雑誌に載るなんて初めてなのでうれしい。
特集「初冬の山と山ごはん」の中の「九重山群 久住山」という1ページ。
凍結した御池を見下ろす写真とともに、「ニラ卵とじうどん」の作り方も載っている。
職場で見せびらかしたのは言うまでもない。


さて、今回の山行である。
大船山に登るつもりで自宅を出発したのだが、車を走らせている途中、体調が今ひとつすぐれないのに気づいた。
そこで予定を変更し、先週と同じお手軽な牧の戸から中岳へのルートを歩くことにした。

牧の戸に到着し明るくなった7時に入山。沓掛展望台に上がると山々にガス。
これでは急ぐことはない。ゆっくり歩くことにする。登路脇に残る雪を見ながら歩く。
扇ケ鼻分岐付近でわずかに青空が広がってきたものの、再びガスに覆われてしまった。
一旦久住山避難小屋に入って小休憩ののち、御池をめざす。
ほぼ凍結した御池を眺め、池の小屋へ向かう。

池の小屋で昼食。食事を終えてコーヒーを飲む。
10人ほどのグループが到着したのを契機に小屋を出て中岳へ。
山頂に到着してもガスは晴れそうで晴れない。しかたなく天狗が城へ。ここでもわずかに御池を見下ろせただけ。
下山している途中、周囲のガスが一気に晴れてきた。天狗が城は下ったばかり。そこで久しぶりの久住山へ向かった。
山頂からガスの晴れた周囲を撮影。実にいい気分。しばらく撮影を楽しんだのちに下る。
星生山もガスが晴れ、扇ケ鼻分岐では霧氷越しに撮影を楽しんだ。
だが霧氷はまだ小さい。本格的な寒波の到来が待ち遠しい。

7:00牧の戸→7:15沓掛展望台→8:15扇ケ鼻分岐→8:45〜9:00久住山避難小屋→9:05久住分かれ→9:25御池→9:40〜11:20池の小屋(昼食)
→11:35〜12:00中岳→12:15〜12:20天狗が城→12:50〜13:10久住山→13:25久住分かれ→13:50扇ケ鼻分岐→14:45沓掛展望台→15:00牧の戸




前日の金曜日は以前の休日出勤の振休をとってあった。なのに9時過ぎに出勤し文書作りに励んだ。天気の良い土曜日に山行するためである。
上司が「どうして?振休なのに」と聞いてきたが、明日の山行のためと聞いて納得の様子。

今日は前日から大船山のつもりだった。ところが体調が今ひとつ。そこで大船山をあきらめ、お手軽な牧の戸ルートに変更。
牧の戸に向かう途中、久住高原で見上げると、暗闇の中、九重の山々には厚い雲がかかっていた。

牧の戸駐車場に到着。電光表示は−3℃。しばらく車中で待機し夜が明けるのを待つ。
すっかり明るくなった7時に入山した。



第1展望台に上がると沓掛山にガスがからんでいる。


沓掛展望台に上がってみると山々は厚いガスに覆われている。
これでは急ぐことはない。のんびり歩くことにする。



沓掛の岩場よりルートを俯瞰する。
数日前の雪がまだ残っていた。



扇ケ鼻分岐直前、霧氷越しに星生山を見上げる。
上空に青空が広がってきた。これは意外にも早く晴れるかも。



扇ケ鼻分岐に着くと、星生山が姿を現した。
喜んだのも束の間、すぐに再びガスに覆われてしまった。残念・・・



西千里浜を歩く。ガスは時折一瞬晴れる。早く晴れないかな〜



西千里浜には多くの踏み跡が残されているが、端には踏み跡のないところもある。
わずか数pの積雪だが、足跡のないきれいな雪を踏みしめた。


星生崎を過ぎ久住山や中岳を眺めると、厚いガスに覆われている。しばらくは晴れそうにないガスである。
仕方なく一旦久住山避難小屋に入って小休憩。中には2人の男性が休憩中だった。
しばらくすると2人とも下山。どうやら朝駆けされた方のようだ。
2人を見送り、私はこれから御池へ向かうことにする。



霧氷の向こうはガスで真っ白。
晴れていればこの向こうには天狗が城が見えているはずなのだが。



凍結した御池に到着。


今日は氷の上を歩いてみようと思っていた。だがその勇気がなかなか出ない。
だれかが渡っていれば・・・と他力本願なことを考えたのだが、氷の上にはだれもいない。
そのうち天狗が城から下ってきた男性が御池にやってきた。
2人で「大丈夫でしょうか」と相談したが、これは上に乗ってみないとわからないこと。
そこで、ちょっとだけ氷の上を歩いてみることにした。



なんとか無事に歩けたが、ミシミシと音が聞こえてきて気が気ではなかった。
何しろ一度氷が割れてボチャンした身である。



御池を半周してみると、氷が融けているところがある。
まだ完全凍結というわけではない。本格的な冬の到来はまだ先なのだろう。


ガスは時折晴れるものの、それも一瞬でしかない。とりあえず池の小屋へ向かう。



再び一瞬の晴れ間、御池を振り返る。
池の小屋から出てきた方々が下っていく。きっと朝駆けした方々だろう。



池の小屋の前では男性が周囲を眺めていた。


小屋に入ろうとしたその時、小屋から出ようとした方と鉢合わせ。
なんと、先週朝駆けで出会った「九重の四季」のKさんであった。
やはり今日も朝駆けだったそうである。その様子はKさんのページでどうぞ。

私もよく知っているGさんが先ほどここを出て行ったばかりだそうだ。
ついさっきすれ違ったグループにGさんがいたに違いない。
こちらはニット帽にネックウォーマーで目だけ出ている状態であった。

久しぶりに会えたかもしれないのに残念である。

「状況写真を撮る」と言って中岳方面に向かったKさんを見送って中に入る。
中には数名の方が休憩中。私は早めの昼食タイム。



今日は具だくさんの鍋。その後にうどんを入れて食べようという算段。
立ち上る湯気がいかにも鍋らしくていい感じ。
でもよく考えれば具を多めに入れたうどんを作って食べれば同じことである。



食べながら時折小屋の外に出てガスの様子をチェック。
何度か出ているうち、すっきりと晴れた中岳が見えた。
だがすぐにまたガスに覆われてしまった。



食後のデザートは前回と同じ。バナナのヨーグルト、ブルーベリーソース。
まだ外はガス。続いてコーヒーを飲む。


しばらくすると数名の方が出て行き、私を含めて4人に減った。長崎から来たご夫婦と20代のきれいな女性。4人でルートの話になった。
女性は行ったことがない稲星山と白口岳に行きたいというのだが、ガスが深くお勧めできないと伝えた。


コーヒーを飲みほし、出発の準備をしていると、10人ほどのグループが到着。
そこで、ガスはまだ晴れそうにないが、小屋から出ることにした。

私が外に出ると先ほどの女性が出てきた。
幸いガスが薄くなり稲星山とそこまでのルートが見える。やはり行ってみるようだ。
ガスが深い中、無事に行けただろうか。


私はといえば、ガスの中ではあるが、とりあえず中岳へ向かう。



山頂付近はまさに冬の様相であった。



山頂に到着したものの、周囲の展望はない。
この霧氷の向こうには大船山があるのだが・・・。


しばらくガスの晴れるのを待つことにした。



山頂に2人の若い男性がいる。初めて中岳に登って来たようだ。
その感激を伝えようと、それぞれ知り合いに携帯で連絡を取っている。
ようやく繋がった知り合いに「今、九州本土最高峰の中岳の山頂にいるんだよ!」
「周りは雪で真っ白でさあ」「で、カップ麺を食べたんだ」と伝えるのだが、
どうも相手の反応は期待したほどでもないようだ・・・。



ガスはしばらく晴れそうにない。そこで天狗が城に向かうことにした。
下りは危険なのでアイゼンを装着した。
やっぱり安心感が違う。



ガスに煙る天狗が城山頂を見上げる。



山頂から凍結した御池がぼんやりと見える。


しばらく待ったが、ガスは晴れそうにない。しかたなく下山することにした。



天狗が城から下っていく。


下るうちに暑くなり、それまで来ていたダウンジャケットを脱ぐ。
それは気温が上がり始めた証拠であった。


みるみるうちに周囲のガスが晴れていく。



先ほどまでいた天狗が城の山頂にはもはやガスはない。
だが今下ってきたばかりのここを登り返す気にはならない。



そこで、こちらも晴れた久住山へ向かうことにした。



久住山へと登りながら空池と天狗が城を望む。わずかに中岳山頂も見える。



久住山頂は韓国からの登山客でにぎわっていた。



霧氷越しに久住高原を見下ろす。
阿蘇五岳が遠く靄の中に浮かんでいた。




この風景を眺める若い2人。



最後に残っていた星生山を覆っていたガスもほとんど消えた。



白く彩られた山々を気分良く眺める。
天狗が城と中岳、白口岳と稲星山。白口岳の左奥には大船山が見える。


この風景を見ることができて大満足。さて、下山することにしよう。



あまりにも気分がよく、このまま下るのがもったいない。
久住山避難小屋の前で岩に腰掛け、久住山を見上げながら休憩した。



西千里浜を歩く。
霧氷越しの星生山。


やがて扇ケ鼻分岐を過ぎ、霧氷のトンネルに差し掛かった。
青空となればここで撮影しないわけにはいかない。
霧氷越しに眺める星生山が私の好きなアングル。





霧氷のトンネルを過ぎ、もう一度星生山を振り返った。



沓掛の岩場まで下り、再び今日のルートを俯瞰する。
まだ冬は始まったばかり。本格的な寒波がやってくるのが待ち遠しい。


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