星生山
2014年1月19日
またも強い寒波がやってきており、午前中の展望は無理のようだ。
そこで三俣山の予定を変更し、牧の戸から入山することにした。
久住高原の手前でチェーンを巻き、慎重に牧の戸駐車場に到着。
しばらく車で待機し、いつもより遅く入山した。
ガスは深く数時間は晴れないと思われ、のんびりと歩く。久住山避難小屋に入り小休憩。
御池でわずかに日が差したが再び深いガス。予定通り池の小屋に入って昼食。
ガスが晴れるまで小屋で粘るつもりだったが、混み合ってきたため小屋を出て下山することにした。
ところが西千里浜を下っているとガスが急に晴れてきた。そこで星生山へ向かう。
ガスが一気に晴れる中、山頂に到着。絶景を味わいながら小休憩。
30分ほど休憩して下山。霧氷が融け始める中、牧の戸へと下った。
7:40牧の戸→8:05沓掛展望台→8:55扇ケ鼻分岐→9:20〜9:30久住山避難小屋→9:50御池→9:55〜11:30池の小屋(昼食)
→11:35御池→11:45久住分かれ→12:05西千里浜(星生山とりつき)→12:35〜13:05星生山→13:30扇ケ鼻分岐→14:10沓掛展望台→14:20牧の戸
今週末、日本列島にまたも寒波が押し寄せている。
日曜日の天気予報は「くもり昼過ぎから晴れ、朝はところにより雪」。
自宅出発時の予定は大曲からの三俣山だった。
竹田市中心部を過ぎると路面にところどころ雪が見え始め、
安全のため早めにチェーンを巻いた。慎重に運転して牧の戸に到着。
道路脇の気温表示は−7℃。強めの風が吹いており寒い。
しかも深いガスが立ちこめている。
この状況で三俣山へ向かえば、すがもり越でガスが晴れるのを待つことになりそうだ。
吹きさらしのすがもり越で長時間待機するのはつらい。
そこであっさりと三俣山をあきらめ、牧の戸から入山することにした。
ガスが晴れるのは10時より早くはないだろう。
車内で時間調整し、私としては遅めの7:40に入山。
新雪を踏んで登っていく。
柔らかな感触が足に心地よい。
沓掛展望台には踏み跡がない。
展望がないので私もそのまま通過した。
沓掛の岩場を過ぎ、ガスかかる尾根道を望む。
周囲にはこの季節ならではの雪景色が広がっている。
だがガスの立ちこめる中ではカメラを構える気にならない。
扇ケ鼻分岐を通過。
西千里浜を歩いていく。
前にも後ろにも人影は見えない。
淡々と歩くのみである。
もはやどこまでが雪でどこからがガスなのかさえ判然としない。
星生崎を霧氷越しに見上げたが、かすかに見えただけだった。
牧の戸からここまで、誰にも会っていない。
このガスの中、さすがに人恋しくなってきた。
このガスだ、きっと久住山避難小屋には誰かが休憩しているだろう。
ところが意に反して小屋には誰もいなかった。
しばらくすると単独登山の男性が到着。
「どちらまで行かれますか」と尋ねると、「久住山に行きます」とのこと。
さらに「ガスが晴れるまで粘りますか」と聞くと「いや、すぐに下ります」と笑った。
いつ晴れるかもわからないガスの中、何時間も待つ人はそうはいないよな。
久住山へ向かう男性の後を追うように小屋を出る。
男性は右に向かい久住山へ。私は左に向かい御池をめざす。
というより、とりあえずの目的地は御池でなく池の小屋なのだが。
ガスに加えて強めの風が吹いており、カメラを構えるのも一苦労。
やがて御池に到着。
一瞬薄日が差したものの、またすぐに一面のガス。まあそうだろうな…。
我々の別荘(?)、池の小屋に転がり込んだ。
中には数名の方が休憩中。
私も、ここで昼食を食べながら晴れるのを待つことにする。
今日の食材。
右上は白菜、白ネギ、シメジ。左下はニラ。右下は豚肉。
中央下は今日のメニューのポイントとなるキムチである。
ニラ玉キムチうどんが完成。
寒いときには暖まるピリ辛がいい。
ちなみに画面左半分に白く見えているのは小屋に降り込んだ雪である。
冬の定番のデザートを食べ終えた頃、小屋を訪れる人が徐々に増えてきた。
できればガスが晴れるまで小屋で待機しておこうと思っていたのだが、
混み合ってきたため、席を譲るべく小屋を出ることにした。
少しでもガスの晴れそうな気配があれば中岳に向かうつもりでいたが、どうもその様子はない。
根性のない私は山頂でじっと粘ることはできそうにない。
時を同じくして小屋を出た4人組と一緒に御池にやってきた。
深いガスの向こうから、多くのアイゼンが氷の上を歩く音が聞こえてくる。
その音の正体はこの方々だった。
このガスだ、みなさんとりあえず池の小屋に向かうと思われる。
早めに小屋を出て正解だったかもしれない。
久住分かれを通過。
ガスの中、いくつかのグループとすれ違う。
ところが、星生崎を越えた頃、急にガスが晴れて上空に青空が覗いた。
ガスの中から扇ケ鼻が姿を見せた。
この展開は大歓迎だ。
ガスが晴れれば、このまま下山するなどということはできない。さてどうしようか。
今さら久住山や中岳に戻る気にはならず、星生山に登ることにした。
西千里浜から星生山へ向かう。
このルートを登るのは久しぶりだ。
山々のガスが一気に晴れてきた。
足を止め、扇ケ鼻(右)と肥前ケ城を振り返る。
その間には遠く雲海の下に阿蘇根子岳が見える。
すっきりと姿を現した久住山。
西千里浜から星生山へ向かうこのルートは次第に傾斜が急になる。
もう少しで尾根というとき、それまでたどってきたトレースが消えてしまった。
ここからは雪の吹きだまるところ。
あえぎつつ、ときには雪を踏み抜いて膝まで埋まりながら、ようやく尾根にたどり着いた。
尾根に着くと、扇ケ鼻分岐から尾根を歩いてきた若者2人(ともに男性)と出会った。
2人とも満面の笑み。思わず「晴れましたね」と会話を交わす。
若い2人に少し遅れて山頂に到着した。
まずは山頂からの絶景を撮影する。
ふと後ろを振り返ると、若者2人が石の上にカメラを乗せ、記念撮影をしようとしている。
「シャッター、押しましょうか?」と声を掛けた。
左に三俣山、右に大船山という絶好のアングルで撮影。
きっといい記念になるに違いない。
2人は風を避けながら昼食準備にとりかかるようだ。
私も小休憩しながら周囲の撮影をする。
ガスかかる三俣山。
扇ケ鼻と肥前ケ城を望む。
画面の中央には凍結した池のように真っ白な低地が見える。
もしかするとここは昔、火口だったのかもしれない。
だとすれば、ケルンの並ぶ西千里浜は火口壁だったのかも。
山頂標識のそばに戻り、この風景を味わう。
「今日も登ってきてよかった」と思えたひととき。
さて、そろそろ下山するとしようか。
真っ白な地塘越しに久住山を望む。
扇ケ鼻分岐にて、霧氷越しに星生山を振り返る。
私の好きなアングルだが、霧氷は早くも融け始めていた。
風もなくなり日差しが暖かく感じられる。
そういえば冬至から早1ヶ月。
風景はまだ真冬だが、春は確実に近づいている。
穏やかな日差しを浴びながら牧の戸へと下った。
山行記録にもどる