星生山・天狗が城・中岳・久住山

2014年10月4日


9月27日午前11時52分に噴火した御嶽山では、10月5日現在で亡くなられた方は51人となってしまった。
今なお行方のわからない方もおられ、同じく山を愛する者としてその悲惨さに言葉もない。
小学生の子どもたちも含まれており、美しい紅葉を眺めながら家族と一緒の幸せな時間を過ごしていただろうにと思うと、やるせない思いである。
もし噴火が1日前の金曜日であれば。せめて早朝か深夜であったなら。なぜこのタイミングなのかと思えてくる。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族や関係される方々の心が少しでも早く癒されることを願っています。




今回は九重連山300回目の山行である。
どの山に行こうか悩むこと数日。
結局いつもと同じようなルートになってしまった。
早朝5時半、ヘッドライトを点けて牧ノ戸を出発。
沓掛山頂でガスの上に覗く山々を撮影し、再び歩き始める。
やがてガスが晴れ、星生山へ。
すっきりと晴れた秋空を眺めつつ久住分かれへ向かう。
天狗が城へ向かう頃、周囲にガスがやってきた。
中岳に到着したときには大船山はガスで隠れてしまっていた。
しかたなくいつものように山頂で昼食。
のんびりと過ごした後、久住山へ向かう。
雲海の下に見える久住高原を眺めながら休憩。
あちこちに咲くリンドウを撮影しながら下山した。




冒頭、御嶽山の噴火のことを書いた後で恐縮だが、我が家の慶事の報告を。
9月21日(日)に長女(24才)が結婚式・披露宴を挙げた。
1回目の登山のときはまだ14才の中学2年生だったのに、早いものである。
私は花嫁の父として式に臨み、娘と一緒に入場、花婿に無事バトンタッチした。
娘が人生の伴侶を得、新しい家族が増えたことを喜ぶのは当然のこと。
前日、職場で「寂しくないですか」と尋ねられたが、私にはそんな感傷はまったくなく、
娘の幸せな瞬間に親として立ち会える喜びをかみしめていた。
披露宴でお決まりの「両親への手紙」も、娘が読み上げる思い出を
「そういえばそんなこともあったなあ」と笑顔で頷きながら聞いていた。


さて、今回の山行は九重連山300回目。
となると普段とは違うルートで歩いてみたい。
長者原~すがもり~三俣山~坊がつる~大船山~坊がつる~雨が池~長者原
という私にとっては無謀と思えるルートも考えてみた。
この季節、三俣山のリンドウは花盛りだろうし、
大船山の紅葉の進み具合も気になってしかたがない。
残念なのは夕刻から佐伯市で所用があり、下山時刻をあまり遅くできないこと。
それにリンドウは三俣山でなくても咲いている。
そこで、100回目、200回目のときと同じようなルートで歩くことにした。
何のことはない、いつものルートである(笑)。


いつもより早い5時半にヘッドライトを点けて入山。
周囲は暗くて見えないが、どうやらガスが立ちこめている気配。
第1展望台に上がるとやはり周囲はガス。
天気予報は晴れ、しかも降水確率0%だったのでこれは意外だった。


しばらくはガスの中を歩くのか・・・と考えながら沓掛の岩場に到着。
するとガスの上に山々の頂が見える。
そこですぐそばの沓掛山頂に上がってみた。



沓掛山頂より、ガスの流れる山々を撮影した。
このガスが朝日に染まったら確かに絶景だろう。
朝駆けされる方々がはまっているのもわかる気がする。


歩いていくうち、周囲に立ちこめていたガスが早くも晴れた。
秋になり、夏とは明らかに空気の質が違う。
さわやかな朝の空気を感じながら気分良く歩いていく。



扇ガ鼻分岐を過ぎ、朝日を浴びた星生山をめざす。

そういえばしばらく星生山に登っていない。
いつ以来かと山行記録を調べてみると、
前回はなんと2月11日。ずいぶんご無沙汰してしまったな。



地塘の近くにはヤマラッキョウが数輪咲いていた。



ヤマラッキョウ越しに星生山を見上げる。



朝日を受けたススキを逆光で撮影した。
右奥には久住山、中央下に地塘が見える。



少し登ってもう1枚。



尾根に上がると星生山の巨大な影が伸びていた。



山頂はもうすぐだ。



星生山頂に到着。
2人の単独登山の方が休憩中だった。


360度、見渡す限りすばらしい青空が広がっている。



扇ガ鼻(右)と肥前ガ城。
阿蘇山は残念ながら雲の下に隠れている。



三俣山と天狗が城・中岳。遠く大船山と平治岳も見える。
いつもは何気なく見ている硫黄山の白い噴煙だが、今日は気になってしまった。



大船山のシルエットが美しい。
だが、多少ガスがある。しかも大船山の向こうは一面の雲海。
その雲が動かないかと心配になった。



休憩を終え、尾根づたいに久住分かれをめざす。



星生崎から下りながら大槍(久住山)と小槍を撮影。



久住分かれまで下り、ススキ越しに久住山を見上げた。



三俣山を撮影。
大船山の向こうに見えていた雲が動き始めているようだ。

あの雲がやってこなければいいが・・・。



天狗が城の山頂をめざす。
浮いた石が多く、歩きにくい登路だが、マイペースで登る。

以前は登りが苦手だったが、最近登りが苦にならなくなった。
というより、登りを楽しめるようになった気がする。
「まるごと山を味わう」というのはそういうことなのかなと思う。



天狗が城に到着。ここには誰もいなかった。



いつものアングルで緑色の御池を見下ろす。



三俣山にはガスがまとわりついていた。



休憩もそこそこに中岳へ向かう。
大船山はガスに飲み込まれそうだ。
中岳山頂に着くまで見えていればいいのだが・・・。



中岳山頂に到着したが、大船山はガスのためほとんど見えなかった。



久住山方面は時折ガスが流れ込むものの、まだ展望がある。


さて、これからどうしようか。
当初の予定では中岳を経由して白口岳まで足を伸ばすつもりだった。
ねらいは白口岳山頂に咲いているリンドウ。
リンドウ越しに大船山を撮影するのが今日の目的。
ところが白口岳も大船山も巨大なガス(というより雲)に覆われてしまった。
この状況はなかなか変わりそうにない。
そこで時間稼ぎも含めて中岳山頂で昼食をとることにした。



まずは300回を記念してビールで乾杯だ。
と言いたいところだが、当然アルコールは飲めない。
せめて気分だけでもと思い、凍らせて持ってきた。



今日の昼食は鶏肉をたっぷり入れた親子丼。




食べている途中、わずかに雲が切れた。
大船山と、その手前に白口岳が見えたが、すぐにまた隠れてしまった。


食後のコーヒーも飲み干し、山頂到着後1時間半が経った。
それでも状況は変わらない。これでは白口岳に行ってもねらい通りの撮影はできそうにない。



そこで、山頂付近に咲いていたリンドウを撮影し、御池に下ることにした。



ガスの流れる御池を見下ろす。


池のほとりまで下ると、草むらにみごとなリンドウの花たちを見つけた。





いつものアングルでの撮影だが、秋の訪れを感じる。



空池越しに望む久住山にはガスはない。
早朝に入山したおかげでまだ時間に余裕がある。
よし、久住山にもあいさつしておこう。



山頂は多くの人で賑わっていた。



山頂の端に立ち、雲海が広がる久住高原を見下ろす。
この開放感は久住山ならではのものだ。実にいい気分。


このまま下るのはもったいないので、今日2回目のコーヒータイムとした。




小さな男の子を連れた親子が風景を眺めている。
実に幸せそうな家族の様子を見てこちらまでうれしくなった。


ゆっくりとコーヒーを飲みほした。そろそろ下山することにしよう。


あちこちに咲くリンドウに癒されながら下っていく。



リンドウ越しに久住山を見上げる。



こちらは星生山。


久住分かれを過ぎ、多くのグループが休憩中の避難小屋前を通過。



西千里浜でもリンドウ越しに星生山を見上げた。



星生山の西壁にまだ紅葉のきざしはごくわずか。
ここの紅葉もいつか見てみたい。

でも、たぶん今年も無理だろうな。



コンクリート道で名残のアキノキリンソウをカメラに収め、牧ノ戸へと下った。


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