天狗が城・中岳・久住山・扇ガ鼻

2015年1月3日


新年になって最初の九重山行は朝駆け。
3時35分に牧ノ戸から入山。普段より急ぎ足で登っていく。
途中、2人組と3人組を追い越して久住山避難小屋にたどりつく。
さらに池の小屋へ行き、目標の天狗が城へ。
山頂ではすばらしい黎明を撮影できた。
やがて日の出を迎え、池の小屋に下って朝食。
のんびり朝食とコーヒータイムを過ごした後は中岳へ。
御池から久住山へ向かい、久しぶりに扇ガ鼻に寄って下山。
空気の透明度がすばらしく、雪山を堪能した1日となった。

3:35牧ノ戸→3:55沓掛展望台→4:35扇ガ鼻分岐→4:55~5:10久住山避難小屋→5:35御池→5:40~5:55池の小屋
→6:15~7:35天狗が城→7:50~9:20池の小屋(朝食)→9:40~10:00中岳→10:15御池→10:55~11:45久住山
→12:00久住分かれ→12:25扇ガ鼻分岐→13:05~13:15扇ガ鼻→13:35扇ガ鼻分岐→14:25沓掛展望台→14:35牧ノ戸




大晦日から2日にかけて全国的に冬型が強まり、大雪となった。
ネットカメラで見ると九重連山にもかなりの雪が降ったようだ。
3日は移動性高気圧に覆われ、1日中晴れの予報。
初山行は朝駆けしようと思っていたので、迷うことなく山行決定。

私はいつも9時半か10時には就寝するのだが、前夜はさらに早く8時に就寝。
12時に起床すると、居間では末娘がテレビでお笑い番組を見ていた。
正月なんだし、テレビを見ていておかしくない時刻だ。
むしろそんな時刻に起床するほうがどうかしている(笑)。


九州北半分の山間部の道路にはどこも雪が積もっており、至る所でチェーン規制となっている。
道の駅竹田を過ぎたあたりから道路脇に雪が見られるようになり、安全のため早めにチェーンを巻いた。
慎重に運転して無事3時20頃、牧ノ戸駐車場に到着した。
20台ほどが駐車しており、ほとんど灯りがついていない。それだけの人がすでに入山しているのだろう。
私も急いで装備を調え、3時35分に入山。
道路脇の電光掲示板の温度表示は-11℃。山頂はいったい何℃なのだろうと思いながら歩き始める。
登路の雪は先行者で踏み固められていて歩きやすいが、周囲には10㎝程度の雪が積もっている。

今日は黎明を撮影するため、いつもと違い急いで登る。コンクリート道ですぐに2人組を追い越した。
沓掛の岩場で先を見ると、3人組のライトが見える。その方々を西千里浜で追い越した。
久住山避難小屋で一旦休憩し上着を着替え、小屋を出て天狗が城をめざす。
だが、まだ黎明には早い。長時間山頂で待つのはつらいので池の小屋に向かう。
登路にはところどころ雪が吹きだまっている。
深いところでは膝辺りまで積もっており、先行者のトレースがなければ疲労困憊するところだった。

池の小屋にも3人が時間調整の休憩中。
小腹がすいたためチョコを食べ、皆さんとほぼ同じタイミングで天狗が城へ。
たまたま一緒になった男性の後をついて行く。
天狗が城の雪の深い登りにトレースはない。2人で慎重にルートを探し、登っていく。
なんとか山頂に到着。黎明はすでに始まっている。急いで三脚を立てカメラをセッティングした。
さあ、黎明の撮影だ。



今日はほとんど雲がなく、東の空にはすばらしい黎明が広がっている。
茜色から深い紺色へと変わっていくこの空を見たくてこんな時間にここまでやってきた。

なお、中央に見えるのが中岳。その左にはわずかに大船山の山頂が見える。



右にカメラを向けて撮影。
中央に黒く稲星山が見える。
遠くわずかに山頂を覗かせているのは祖母傾山系だ。



左には雪で白く装った三俣山が闇の中に浮かんでいる。



少しずつ東の空が明るくなっていく。



寒さに耐え、日の出をじっと待つみなさん。
暗闇でよく見えないが、天狗が城山頂に20人弱ほどがいるようだ。
すると、私に声を掛けてくれた方がいる。
見ると、最近よく会うYさんだった。
牧ノ戸駐車場で私の車を見つけたそうだ。



日の出が近づいてきた。



山頂で待つこと約1時間。
ようやく7時13分に日の出を迎えた。


三脚からカメラをはずし、周囲の山々の撮影をする。



星生山の山頂がモルゲンロートでわずかに染まっている。



久住山と右奥の扇ガ鼻もピンクに染まる。



朝日を受けた三俣山。その向こうの空も美しい。



天狗が城の雪もピンク色に染まっている。



Yさんもカメラを構えて撮影中だ。


ひとしきり周囲の撮影をし、一息つく。
撮影中は夢中でなんとか寒さを我慢していたが、
撮影を終えた今、寒さは我慢の限界を超えている。
Yさんに池の小屋へ下ることを告げるとYさんも一緒に下ることになった。



まだ暗いうちに男性の後をついて歩いた吹きだまりを逆に戻っていく。



池の小屋に到着。ほっとした。
やはり池の小屋の存在は実にありがたい。



さっそく朝食づくりにとりかかる。
前回の朝駆けは鮭雑炊だった。同じメニューではおもしろくない。
そこで今回は洋風のメニューにした。

材料はごはん、にんじん、たまねぎ(みじん切り)、しめじ、ハム、
そしてポイントとなるミートソースに、とろけるチーズ。

少量の湯でにんじんとタマネギに火が通るまで煮る。
しめじとハムを加え、その後、ごはんを入れてひと煮立ち。
ミートソースを加え、かき混ぜながら煮る。
最後にとろけるチーズを載せて完成。



温かいトマトリゾット(手抜き)のできあがり。

後で気づいたのだが、このメニュー、去年の初山行の時と同じだった。



小屋の中では皆さんが思い思いに朝食の準備中。
中でもこのグループは具だくさんのお雑煮(餅入り)に燗をした御神酒という正月バージョン。
せっかくなので写真を撮らせてもらった。


隣に座っているYさんと楽しく会話しながらの食事。
やはり今日も話題に上ったのが防寒対策。
Yさんの手袋にかける情熱(?)には頭が下がる。
なんと合計で4重にも重ねているという。
その中でも出色なのはこれ。


写真ではわかりにくいかもしれないが、
この中にホッカイロを入れ、外側には厚手の手袋をしているという。
ネットで検索してみると、Kaishion とは「快指温」からきているそうで、
内部にカイロを収容できるようにした手袋のことである。
私も手袋にホッカイロを入れているのだが、指先が温まらないので困っていた。
これなら指先まで温まるので具合がいいはず。



私がのんびりと朝食を取っていたため、Yさんは先に中岳へ向かうという。
今日は私も同じようなコースを歩くことになりそうで、「では後ほど」と見送った。
私はのんびりとコーヒータイムを楽しむ。


そのうち小屋の中は朝駆けを終えた人で混み合ってきた。
その中に見覚えのある方も。
九重逍遙」のOさんと、「赤毛日記」のなおさん。
しばらくの間、みなさんの楽しい会話を聞かせてもらった。

気がつけばすでに小屋に入って1時間半も経っている。
あまりにも小屋が居心地がよすぎるのだ。
だがそろそろ中岳に向かおう。



今日はガスもなく、小屋の前から中岳山頂が見える。



御池を見下ろしながら中岳へ向かう。



天狗が城との鞍部から中岳を見上げる。



誰もいない山頂に到着した。



大船山と平治岳。
今日は空気の透明度がすばらしい。
遠くの山々まで実にくっきりと見える。



稲星山。



久住山方面。



阿蘇五岳も実にくっきり。
今日の中岳は静かなようだ。正月休みなのかな?


撮影を終え、これからどう歩こうかと思案する。
稲星山にも行きたいが、下山途中に扇ガ鼻にも寄りたい。
稲星山→久住山→扇ガ鼻となると今の私にはちょっとしんどい。
そこで無理をせず、いつものように御池に下ることにした。



いつものアングルで撮影し、湖面に下る。



すると池の小屋で一緒だったグループが実に不思議な写真を撮影中。
いったいどんな写真に仕上がったのだろう?



小屋でYさんが「最近、御池の氷の上に石があまりないようだ」と言っていたのを思い出した。
確かに以前に比べて投げられた石が少ないように思える。
だがそれでも皆無とはいかない。動く石をいくつか撤去した。
自然は自然のまま、その美しさを味わいたいものである。


御池を後にして下っていくと、見覚えのある男性と出会った。
ようこそ九重連山へ」のN氏である。
お正月だからか、今日はいつもより遅い入山のようだ。
新年のご挨拶を交わした。



今日は今年の初山行なので、最初から久住山に行くと決めていた。
やはり年の初めには盟主に挨拶しておかなければ。


久住山の山頂標識の近くまでやってきたとき、休憩中のYさんに気づいた。
一声掛け、とりあえず先に写真を撮影する。



真っ白な星生山と三俣山。
星生山の左には涌蓋山、三俣山の右には由布岳。
はるか向こうの山々まで見える。



肥前ガ城(手前)の向こうに扇ガ鼻。
左には阿蘇五岳。


久住高原を眺めながら腰を下ろし、Yさんと会話。
Yさんは中岳から稲星山経由で久住山に来たそうだ。
稲星山への登りでは、腰まで埋もれるほどの雪だったそうである。


気持ちよい風景を眺めながら大休憩。
言うなればおやつタイムである。



まずは風防で囲って餅を焼く。
火力調整が難しくて焦げてしまったが、自分が食べるのだから問題なし。
おせちの一品として作った鶏の唐揚げが焦げた失敗に比べれば何でもない。(笑)



久住高原の雪と阿蘇五岳を眺めながら食べるお汁粉で正月気分を味わう。
そう言えば去年の初山行でも同じことをしていたな・・・。


休憩を終え、一足先に下っていったYさんを追いかけるように私も久住山から下っていく。



久住分かれまで下り、先ほどまでいた久住山を振り仰ぐ。



ケルンの並ぶ西千里浜を下る。
正面に今から向かう扇ガ鼻が見えてきた。



扇ガ鼻分岐からトレースをたどりながら登っていく。


ちょうど上の写真の左上に見える場所に上り詰めたとき、下ってくるYさんと出会った。
「扇ガ鼻東端の様子はどうですか」と訪ねたが、どんな答えであっても行くのは変わらないのに、
それでも聞いてしまうのだから不思議なものだ。



東端より肥前ガ城越しに久住山を望む。
雪はあるものの、今日は霧氷がないため迫力に欠ける気がする。



扇ガ鼻は台地状になっている。中央に見えるのが山頂。
Yさんの言う通り、この辺一体に私以外誰もいない。まさに独り占めだ。



扇ガ鼻山頂に到着。



山頂の東側の岩陰で風を避け、阿蘇五岳を眺めながら小休憩。



遙か遠く、雲仙普賢岳が雲の上に浮かんでいる。
写真の中央に写っているのだが、見えるだろうか。


独り占めだと思っていたが、すぐ後ろの山頂で声がする。
ザックを背負い上がってみるとご夫婦が到着したところだった。



山頂からの絶景をカメラに収め、下山する。



扇ガ鼻分岐へと下っていく。


扇ガ鼻分岐から淡々と下る。



あの雪だるまはずいぶん形を変えていた。


沓掛の岩場へ向かう途中、見覚えのある男性が登ってくる。
すぐに「九重の四季」のK氏だとわかった。
以前も何度かお会いしているのだが、改めて名乗ってご挨拶。
今日は夕駆けだそうだ。



沓掛展望台で靄の上に浮かぶ阿蘇五岳を撮影し、牧ノ戸に下った。


さて、温泉につかって疲れを癒し、佐伯市に戻る途中でのこと。
携帯電話に着信。10年ほど前、一緒に3年間苦労したIさんからだった。
Iさんはスキーが趣味で、それが高じて(?)インストラクターの資格を取ったのだという。
今日もスキーを楽しんでいて、普段は見ることのできない雲仙普賢岳を見ながら、
「今日はきっと九重に登ったに違いない」と連絡してくれたそうだ。まさにその予想の通りである。
今まで登山には縁がないそうだが、「HPを見ていると登りたくなる」と言う。
スキーをしている人であれば冬山も楽勝ではないだろうか。
もっとも、スキーを全くしたことのない私の言うことだから信頼性はゼロであるが。


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