久住山・稲星山・中岳

2016年1月23日

九重連山に待望の雪が降った。
当初の予定は日曜日。だがその日は危険と考えた。
そこでまたも先輩に頼み、荒天前の土曜日に山行となった。
薄明るくなった牧ノ戸を出発し、雪の感触を味わいつつ登る。
ガスの中、周囲の雪景色を見ながら歩いて行く。
やがて扇ガ鼻分岐の手前でガスが晴れた。
久住山避難小屋前で小休憩し、久住山へ向かう。
山頂での風景を楽しみ、稲星山を経由して中岳へ向かう。
中岳山頂では再びガス。晴れるのを期待して昼食づくり。
食べている間、わずかにガスが晴れた。
粉雪が舞う中を下山。
いくつかのグループを追い越し追い越されしながら牧ノ戸へと下った。

6:40牧ノ戸→7:00沓掛展望台→8:05扇ガ鼻分岐→8:50久住分かれ→9:15~9:45久住山
→10:15~10:35稲星山→11:10~12:20中岳(昼食)→12:30御池→12:40久住分かれ
→13:10扇ガ鼻分岐→13:50沓掛展望台→14:00牧ノ戸





前回の山行を終えた17日(月)、九重連山に雪が降った。
東京など各地では積雪による交通の混乱などが起きてしまったが、
私にとってはまさに待望の雪である。不謹慎だがしかたがない。
ネットカメラで牧ノ戸の積雪を確認する日々が続いた。
行きたいのは山々なのだが、急に有休を取って山行できるはずもなく、
「週末まで融けるなよ」と祈るような日々であった。
職場では「寒くてかなわん」という声が声が聞こえる中、
私だけが「この寒さなら雪は融けないだろう」とニコニコ顔である。
そしてようやく週末を控え、日曜日の山行に備えて天気予報をチェック。
ところが23日(土)の夜以降、半端でない大寒波が訪れるという。
24日(日)の天気図を見ると、九州地方の等圧線の間隔が極端に狭い。
この状況だと稜線では暴風になるかもしれない。
もしその風に雪が加われば、これはもう吹雪である。
そんな中での山行は危険と考えた。
そこで、毎度毎度で恐縮しながらいつものT先輩に頼み、
まだ天候が穏やかな23日に山行することにした。


ネットで道路状況を確認すると、瀬の本から長者原まではチェーン規制となっていた。
出発時にチェーンを確認。だが瀬の本からの登り車線に雪はなく、チェーンを巻かずに牧ノ戸に到着。
ただ、牧ノ戸から瀬の本へと下る反対車線は圧雪路となっており、やはりチェーンの準備は必要だ。

ゆっくり装備を調え、薄明るくなった6時40分に入山。



雪の感触を味わいながら登っていく。



沓掛展望台に上がると、ガスが流れ一瞬だけ久住山方面の山が見えた。



久しぶりに霧氷のトンネルを通過。



沓掛の岩場で尾根道を俯瞰。


今日の天気予報はくもり、朝晩は雪というもの。
このガスは予想していたのでショックはない。
もしかすると今日は晴れないかもしれないが、
そのときは雪を楽しみながら池の小屋までのピストンと決めていた。



周囲の雪景色を楽しみながら歩いて行く。
私の住む佐伯市ではめったに雪が降ることはない。
まして積もることなど数年に1度あるかないかだ。
雪だるまを作るのが子どもたちのあこがれだったりする。
でもここなら十分に作れそうだ。



やがて扇ガ鼻分岐が近づくと、ガスが晴れる気配。



ガスが一気に晴れていく。
そのガスの上に星生山が浮かんでいる。




霧氷越しにガスのかかる星生山を撮影。



下山時にも晴れていれば、霧氷が太陽の光に照らされてすばらしい写真になることだろう。



扇ガ鼻分岐に到着し、すっきり晴れた星生山を望む。


休憩しながら周囲を見回してみると、歩いてきた沓掛山方面はまだ深いガスの中。
扇ガ鼻分岐が近づいてガスが晴れたと思っていたが、どうやらガスが晴れたのではなく、
中腹までを覆っているガスから抜け出たのだと判明した。


休憩を終えて再び歩き始めたが、すぐに星生山との分岐でしばし思案。
星生山経由も考えたのだが、なんとなくいつものルートを選んだ。
もし下山時に晴れていれば、星生山経由で下ることにしよう。



ケルンの並ぶ西千里浜を歩いて行く。
今日はこんな青空になるとは予想していなかったので実にいい気分だ。



霧氷越しに星生崎を見上げる。



久住山避難小屋を見下ろす。
久住山も天狗が城・中岳もすっきり見えている。



久住山避難小屋前の岩に腰掛け久住山を見上げる。
北西からやってきたガスがからむ。


しばらく周囲を眺めていると、ガスは星生山や天狗が城・中岳を覆う勢い。
久住山は風下に当たるためか、ガスで覆われることはなさそうだ。
そこで、まず久住山に向かうことにした。



雪越しに久住山を望む。
冬の九重連山に来たという実感がある。


雪の積もった登路をマイペースで登っていく。
凍結している場所もあるが、アイゼンを装着しているので問題なし。



稜線に到着し顔を上げると、「お疲れさまです」と声をかけられたような気がした。
ちなみにこのような模様が顔に見える現象を「シミュラクラ現象」というのだそうだ。



山頂に到着。
山頂には標識のそばに男性が一人座っているだけ。
その男性もしばらくして山頂を離れたため、久住山頂を独り占めだ。
こんなことは久住山では珍しい。



霧氷越しに久住高原を見下ろす。
阿蘇五岳は雲海に隠れて見えなかった。



北西からのガスが星生山にかかっている。



ガスは天狗が城と中岳をほとんど覆っている。



ガスが少しずつ動き、山々が姿を現してきた。




やがてガスが晴れ、天狗が城と中岳がくっきりと見えた。
この間、約5分ほど。ガスの動きに飽きなかった。


さて、そろそろ久住山を離れ、次の山に移動しよう。
天狗が城から中岳に向かおうとも思ったが、今日は稲星山経由にした。



霧氷越しにこれから向かう稲星山を望む。



稲星山までのルートが見える。
私の前には2人組が歩いていると思っていたが、
一人はずいぶん先を歩いているようだ。



山頂に到着。


到着時には山頂の周りはガスに覆われていたが、このガスは移動中。
岩陰で風を避けているうちガスは通り過ぎていった。



白く装った九重連山を望む。



岩氷の着いたガメラ岩越しに大船山を望む。
すっきりと青空でないのが残念だ。


お腹も空いてきたことだし、次は中岳に向かおう。



中岳下に到着。


ここまでは積雪も少なく楽勝だった。
ところが中岳に向かう登路にはトレースがない。
雪はそれほど深くはないが、それでも時折足首が埋もれる。
何度も立ち止まり息を継ぐ始末。
日頃のトレーニング不足を反省しながら登る。



ようやくたどり着いた山頂は深いガスの中。
反対側から登ったグループが山頂標識で記念撮影中。
シャッターを押して会話を聞いていると、
「このガスじゃ下るしかないな」「ここにおっても何するんだよ」
などと言いつつすぐに下っていった。



一面の霧氷を見下ろす。だがその向こうに何も見えない。
確かにこれでは下るしかないかな。久しぶりに御池で昼食としようか・・・。
ところがそのとき、上空のガスがわずかに切れ、薄日が差した。
これはもしかすると一瞬でも晴れるかもしれない。
幸い風はそれほど吹いておらず、長時間粘るのは苦痛ではなさそうだ。
そこで、晴れることを期待して山頂で昼食を食べることにした。
まあ、つまりはいつも通りの行動に落ち着いたということで・・・(笑)。



今日のメイン食材は右下のホルモン。
それと白菜・シメジ・しいたけ、ニラ。



ホルモンたっぷりのもつうどんが完成。


冷静に考えればこの風景は異常かもしれない。
「何も好きこのんでこんな雪の中でうどんを食べなくても・・・」と思うだろうが、
やっている本人には特に違和感がない。
もつうどんは普通においしかった。
でも食べ始めると粉雪が舞い始めた。
さすがにこれは晴れないだろうな・・・。


うどんを半分ほど食べた時、山頂標識付近が急ににぎやかになった。
どうやら若者5人グループが到着し、記念撮影を始めたようだ。
ところが「すげー!」「キター!」と叫ぶものだから、一体何かと振り返ると、
彼らが到着すると同時にガスがわずかに晴れたのだとわかった。
これは昼食どころではない。食べるのを急遽中断しカメラを構えた。



久住山と御池。天狗が城はガスの中。
この深いガスの中、一瞬だけでも晴れたのは奇跡的と思えた。



「俺たち、持ってるよな!」と言いながら記念撮影をする若者たち。
そう、君たちは確かに持ってるに違いない。
おかげで撮影できたよ。ありがとう。


残りのうどんを食べる。
すると別の男性2人が到着すると同時に今度は大船山方面のガスが晴れてきた。



霧氷原の向こうに白口岳を望む。
左下には坊がつる。
残念ながら大船山は見えなかった。
だが今日のガスではこれだけ見えればよしとしよう。


すぐにガスで覆われた山頂で冷たくなったうどんを食べ終えた。
みなさんは再び粉雪が舞い始めた山頂には長居したくないようで、次々と下っていった。
風が多少吹き始めたため寒いが、ここはやはりコーヒーを飲まないと締まらない。
そこで最後にコーヒーを急いで飲みほし、下山することにした。



御池は当然ながら完全に凍結している。
だがこのガスでは楽しみようもない。
ただ淡々と湖面を歩く。



久住分かれを通過。
もちろん星生山を経由するはずもない。



西千里浜を下っていく。
この状況でも登ってくるグループがあるのだから驚きだ。



いくつかのグループを追い越し、追い越されながら牧ノ戸へと下った。


なお、山行翌日の早朝は佐伯市にも珍しくわずかながら雪が積もった。
九重連山にもさらに雪が降ったに違いない。


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