久住山・中岳・天狗が城・星生山
2017年3月28日
27日、栃木県那須町のスキー場の近くで雪崩が発生し、
登山の講習会に参加していた高校生と引率教師が巻き込まれ、
高校生7人と教師1人、計8人の尊い命が失われました。
同じ登山を楽しんでいる1人として、残念でなりません。
御嶽山での火山噴火という突然の自然災害と違い、
雪崩は危険性のある場合には近づかなければ遭遇しません。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
早く原因が究明され、二度とこのような悲劇が起こらないことを願います。
今回は休暇を取っての平日山行。
前日に季節外れの雪が降り、しかも晴天の予報。
牧ノ戸から入山し、気分次第で歩くことにした。
私としては遅い7時に入山。
上空は青空が見えるものの、雲が流れている。
いずれは晴れると信じ、新雪を踏みながらマイペースで歩く。
久住山避難小屋前で小休憩し、久しぶりに久住山へ向かう。
次に御池へ。湖面は半分ほどがまだ凍結していた。
中岳で風景を眺めつつ昼食。コーヒーを飲み、腰を上げた。
天狗が城を経由して久住分かれまで下る。
これほど天気が良く、雪があるとなれば当然星生山経由。
尾根道を歩き、星生山頂に到着。雪をまとった山々を眺めて大満足。
ただ、下山は悲惨だった…。
6:55牧ノ戸→7:15沓掛展望台→8:35扇ガ鼻分岐→9:15~9:25久住山避難小屋前
→10:00~10:25久住山→10:50御池→11:15~12:25中岳(昼食)→12:40天狗が城
→13:05久住分かれ→14:00~14:15星生山→14:45扇ガ鼻分岐→15:30沓掛展望台→15:45牧ノ戸
先日55才の誕生日を迎えた。
私の職種では、満55才になる年度に「連続した3日間」のリフレッシュ休暇が取得できる。
このことは年度当初に聞かされて知っており、年度中に取得したいとずっと思っていた。
だが分刻みの忙しさの続く状態では「連続した3日間」の休暇はありえなかった。
仕事が一段落した今であれば可能。27日(月)から29日(水)までの3日間を休暇に当てることにした。
3日間をどう過ごすか、妻と相談。(一人でかってにどこかに行くなんてことは最初から考えていない。)
数日後、春休みで自宅に戻っている末娘と、結婚した長女を連れた1泊の温泉旅行が決定。
日程は長女の仕事(ケーキ屋 お菓子のアトリエ シュクル)の都合で26日(泊)~27日となった。
3日間のうち、1日はそれでOK。で、あと2日はどうしようか?
妻は「あなたに任せるわよ。2日、山に行ってきてもいいよ」と言う。
そこで、久しぶりのテント泊を計画した。
となれば重いザックを背負って歩くためのトレーニングが必要だ。
早朝のジョギングと筋トレに励んだ。
2日間、計3食分の食事のメニューと食材のリストも作った。
家族旅行に行く直前まではテント泊するつもりだったのだが、気が変わった。
季節外れの寒気が訪れ、27日早朝の宿(筋湯のあたり)は雪で真っ白。
これでは早朝の坊がつるは相当に冷えるに違いない。
凍えるのはいやだし、今回はあきらめよう。
もっとも、日帰り登山にした理由はもう一つあり、
どうもそちらの方が本当の理由のように思える。
そういうわけでいつものように日帰り登山。
前日に雪が降り、ネットで確認したところ、牧ノ戸駐車場は真っ白。
夜にもまだ降るようで、どうやら今季最後の雪山登山となりそうだ。
おまけに移動性高気圧に徐々に覆われ、天気も回復に向かう予報。
そこで、牧ノ戸から入山し、気が向くままに歩くことにした。
九重に向かう車中ではいつものようにNHKラジオを聞く。
今日は「島津亜矢特集」。珍しく演歌をじっくり聴いた。
花公園を過ぎ、瀬の本に下る前にチェーンを装着。
道路は圧雪路になっている。慎重に運転し、牧ノ戸駐車場に無事到着。
さすがに平日だけあって車はわずか7台。今日は静かな山行になりそうだ。
装備を調え、私にしては遅い7時に入山した。
登路に新雪。上空には青空。
これ以上は望めないシチュエーションだ。
先行者は沓掛展望台をそのまま通過したようだ。
誰も足を踏み入れていない雪。
ベンチの上に小さな雪だるまが2人いる。
そういえば前日、宿を立つときに娘が雪だるまを作って車の上に置いてたっけ。
もちろん走らせているうちにカーブで落ちてしまったけれど。
霧氷のトンネルをくぐる。
これもこの冬最後だろう。
沓掛の岩場より尾根道を俯瞰する。
このときまでは青空だったのだが、このあと徐々に雲が広がってきてしまった。
だが今日は昼頃から晴れることは間違いない。
ゆっくりマイペースで歩くことにしよう。
星生山が見えてきた。
霧氷越しに星生山を望む。
青空であれば…と思うが、3月末に霧氷を見られただけでもラッキーだ。
扇ガ鼻分岐に到着し、ここでも霧氷越しの星生山を撮影。
西千里浜を歩く。
ケルンも雪をまとって優しい風情だ。
星生山への分岐まで来ると、それまであった複数のトレースがなくなった。
見ると星生山へ登る登山者が2人。
おかげでトレースのない新雪を歩くことができる。
こんなチャンス、めったにない。
時折振り返って自分のトレースを確認してみる。なんだかうれしい。
星生崎を見上げる。
久住山避難小屋を見下ろす。
久住山はなんとか見えるが、中岳方面は雲がかかっている。
西から雲が次々に通過していくためだ。
避難小屋前は足跡の1つもない雪原。ここはこのままにしておこう。
そこで、へりを歩いて久住山を見上げる岩に腰を下ろした。
行動食を食べながら久住山を見上げる。
10分ほど見上げていたが、中岳方面には雲がかかるものの、久住山にはほとんどかからない。
よし、久しぶりに久住山に行こう。
雪原越しの久住山。
山頂に到着。
山頂には2人いたのだが、私と入れ替わりに下っていった。
山頂には私1人。久住山でこんなことは珍しい。
予想通り青空が広がった。
三俣山に、天狗が城、中岳。大船山も見えている。
星生山と扇ガ鼻。
霧氷越しに久住高原を見下ろす。
残念ながら阿蘇五岳は見えなかったが、それでも実にいい気分だ。
岩陰に腰を下ろして風を避け、この風景を眺めながらしばし休憩。
さて、次は天狗が城か中岳だ。
霧氷越しに天狗が城と中岳を望む。
青空がいいなあ。
御池に到着。
やはり完全には凍結していなかった。
最近暖かい日が続いたから当然だろう。
東側は凍結していたものの、さすがにこの上に乗るのはやめておいた。
かつて3月、氷に乗って割れ、ひどい目に遭ったことがある…。
左足だけで済んだからまだ良かったが、あんな冷たい思いはもうこりごりだ。
御池を過ぎ、いつものアングルで撮影。
霧氷や雪があるとひと味もふた味も違う。
天狗が城の鞍部より中岳を見上げる。
山頂に到着。
標識にはエビのしっぽがびっしりだ。
私が到着した時には2人の男性がいたのだが、
2人ともすぐに山頂をあとにしたため、ここでも風景を独り占め。
しばらく山頂を移動しながら風景を眺める。
まだ雲が多少あるが、青空の広がるいい天気になった。
すでに11時をとうに過ぎている。昼食にしよう。
今日は久しぶりのラーメン。
もやし、キャベツ、卵、ネギ、チャーシュー。
作っている最中に職場の同僚のOさんからメールが届いた。
昨日の夕方、「明日は九重に日帰りで登ってきます」とメールしたので、「山はどうですか?」とあった。
「辺り一面、雪景色!おまけに霧氷!さらに青空!最高です!」と返信した。
しかしラーメンの方は出来具合がイマイチ。
久しぶりだったので作る手順を間違えてしまった。
でもまあ、いっか。自分で食べるんだし。
それに、この絶景付きなんだから。
ラーメンを食べ終え、コーヒーを飲みながら風景を眺める。
一面の霧氷越しに大船山を望む。
この冬は思うように山行できない日々が続いたため、
正直、この風景を見ないまま終わってしまうだろうとあきらめていた。
今日まさかこの風景を見られるとは思わなかった。
久住山方面を望む。
先程までは見えなかった阿蘇五岳もうっすら見えるようになった。
この1年、本当に忙しい日々の連続だった。
ここには書けないが、苦労したことや悩んだことも多かった。
もしかすると今日のこの絶景は、そんな日々を頑張った私へのごほうびかもしれない。
まさにこの更新作業をしている最中、OさんからYAMAPの私の活動日記にコメントが届いた。
「昨年一年間仕事で忙しくて思うように山行きできなかったので、最期にご褒美があった感じですね。」
まさにその通り!
Oさん、すべてお見通しです。
さて、気づけばすでに12時をとっくに過ぎている。
そろそろ腰を上げなければ。
雪原越しに天狗が城を望む。
天狗が城に到着。
ここにも誰もいなかった。
御池と久住山を望む。
御池の氷は半分ほど。冬と春が同居しているようだ。
三俣山を望む。
手前の斜面の霧氷はすでにかなりが融けてしまっていた。
真っ白な星生山。
これもこの冬の見納めかな。
さて、下山から帰宅までのことを考えると、そんなにのんびりはしていられない。
すぐに山頂を後にする。
久住分かれまで下ってきて久住山を見上げる。
雪の白と空の青がきれいだ。
登るときは雲に隠れていた三俣山もくっきりと姿を現した。
星生崎を見上げる。
この雪にこの青空では、星生山を経由しないという選択肢はない。
雪は思ったほど深くはないが、登るにつれて少しずつ深くなっていく。
かつてMさんと一緒に雪の星生山まで歩いたことを思い出した。
小槍を撮影するのに立ち止まり、息を継ぐ。
ここからは尾根伝いに歩いて行く。
こんな青空の下、雪の尾根道を歩けるなんて。
星生の窓より阿蘇五岳を覗く。
尾根道より山頂を望む。
なんでもない風景なのだが、雪があれば思わずカメラを構えてしまう。
雪が深い。こんなとき、先行者のトレースはありがたい。
なお、見えているのは山頂ではない。
このピークの向こう側に本当の山頂がある。
ようやく山頂が見えた。もうひと頑張りだ。
星生の小窓より三俣山を覗く。
星生山頂。ここでも私一人だ。
三俣山と平治岳・大船山を望む。
白く装った山々を振り返る。
今日、ここに立つことができたことに感謝。
時間に余裕があれば2回目のコーヒータイムを楽しむところだが、残念ながらタイムオーバー。
風景を眺めながらいちご大福を食べ、下山することにした。
ゆるやかに尾根道を下っていく。
ところが、尾根道を下っている時のこと。
時間が下がって焦っていたため、躓いて前に転んでしまった。
右足のすねを岩に打ち付けて痛かったのだが、幸いたいしたことはなさそうだ。
だが後で気づいたのだが、腰にぶら下げていたカメラのレンズフィルターが割れてしまった。
カメラ本体に影響がなければいいのだが…。
下っていくと登路は泥濘。
霜柱が融けただけでも悲惨なのに、今日は雪が一気に融けている。
いたるところに水たまりができていて、ばちゃばちゃ言わせながらの下山はつらいものがあった。
さて、無事に帰宅して家族と夕食。
明日の朝、末の娘は就職の決まった大阪へ向かう。
一緒にゆっくり食事をするのもしばらくはおあずけだ。
中学卒業と同時に大分市で寮生活を始めたため、もう7年間、ほぼ家にいない日々。
長女は大分市で結婚、2番目(息子)も中学卒業後に寮生活で、今は石川県。
3人の子どもがいない日々が日常である。
子どもたちには「お前の人生だ、自分の思うように生きろ」と言っている。
末娘が「大阪に就職が決まった」と聞いたときは「大阪か~」と思ったが、口には出さなかった。
翌朝、駅に向かう末娘を自宅の前で見送る。
短く「がんばれよ」とだけ声を掛けた。
山行当日に九重に向かう車中で聴いた、島津亜矢の「帰らんちゃよか」を、もう一度ネットで聴いた。
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