中岳【朝駆け】

2020年12月13日


天気の良い日曜日。山仲間のみなさんと朝駆けすることにした。
早朝3時に牧ノ戸から入山。マイペースで歩いていく。
ところが西千里浜あたりから周囲にガスが広がってきた。
今日は星空の撮影を予定していたのだが、あきらめて避難小屋で休憩。
6時に避難小屋を出る。御池を経て中岳に向かう。
中岳にはすでに昨夜から入山していたマルワイさんが撮影中。
私も三脚を立てて撮影開始。
やがて夜明けを迎え、曙色に染まるガスを撮影した。
天狗が城で撮影していたみなさんが中岳に到着し談笑する。
その後には私も驚く出会いがあった。
山頂は寒いので池の小屋に下って朝食。
賑やかに楽しい食事の時間を過ごした後は、御池に下って撮影タイム。
のんびり過ごしたのだが、まだ時刻は11時半。
みなさんの楽しい会話を聞きながらゆっくりと下っていく。
「次は雪景色だといいね~」と言って今日の山行を終えた。

3:00牧ノ戸→3:20沓掛展望台→4:10扇ガ鼻分岐→4:45~6:00久住山避難小屋→6:20御池→6:40~8:35中岳
→8:50~10:10池の小屋(朝食)→10:15~11:25御池→11:50久住山避難小屋前→12:25扇ガ鼻分岐→13:15沓掛展望台→13:35牧ノ戸




先週に続き今週も忙しい日々が続いている。
やってもやっても次々とやるべき作業が現れてくる。
そんな状況のため、土曜日のいつもの休日出勤はとりやめにした。

その土曜日(13日)は朝から登山のために精力的に動いた。
まずはカメラのキタムラに電話してNIKONの望遠レンズの在庫を確認。
残念ながら在庫はないということなので、取り寄せを依頼した。
次に自動車修理工場に行き冬タイヤに換装してもらった。
来週には寒波が訪れるというのでその準備である。
待っている間にカメラのキタムラから着信があり、
「ないと思っていた在庫が1個だけありました」とのこと。
冬タイヤに換装した車を走らせ大分市へ。
古いFシリーズの重い望遠レンズを下取りに出し、
ちょうど半額で新しい望遠レンズを購入できた。
このレンズでどんな風景が撮影できるか、楽しみだ。


深夜11時(23時)に眼が覚めた。最近、山行日にはこんなことが多くなった。
今回はみなさんと朝駆けということで興奮していたのかもしれない。
久住高原の星降る館の駐車場で車を停めて見上げるときれいにくじゅうの山が見えた。
もしガスがかかっていればこの駐車場で星空の撮影をするつもりでいたのだが、
晴れていれば大丈夫。そのまま車を走らせた(のだが、これが失敗だった)。

3時に牧ノ戸から入山した。
今の夜明けは7時過ぎ。黎明は1時間ほど前から始まるので6時過ぎ。
山頂まで2時間ちょっとと考えると、入山は4時で間に合う。
だが今日はふたご座流星群が見られるかもしれない。
もう一つ、地球照の月と金星の大接近も撮影したい。
そういうわけで、1時間早く出発した。


コンクリート道を越え、順調に歩いていく。
上空には星空が広がっている。
沓掛の岩場で足を止め、ヘッドライトを消して空を見上げる。
すると1個だけ流れ星を見ることができた。
今日の星空撮影はまず星生崎の下で久住山と中岳を入れての撮影。
その次には御池のほとりで撮影し、山頂に向かうつもりだった。
ところが、西千里浜を歩いていると周囲にガスが広がってきた。
星生崎の下に着いたのだが、久住山はガスで全く見えない。
マルワイさんにLINEしてみると、中岳山頂もガスだそうだ。
これでは星空撮影などできない。御池や山頂に行っても寒いだけだ。
そこで新築したばかりの久住山避難小屋で時間調整することにした。


入ってすぐの土間には単独男性が休憩中。それはいい。
だが奥の板間には寝袋で寝ている人がいる。
(後でわかったのだが男性が2人いた)
行動食代わりのおにぎりを食べ、コーヒーを入れて飲む。
時々外に出てみるものの、ガスの状況は変わらない。
山頂はガスかもしれないが、6時に小屋を出て御池に向かった。


御池のほとりを周回し中岳に向かう。
その途中、上空のガスが晴れて月が見えた。



地球照の月と金星の大接近。
「地球照」というのは、太陽の光が地球に反射し、
月の影の部分がぼんやり明るくなることを言うそうだ。
この写真は購入したばかりの望遠レンズで撮影したもの。


すでに黎明は始まっている。
ガスが薄れてきているということは、きっと黎明が見られるに違いない。
もっと早く小屋を出るんだった、と後悔したが、せめて最善を尽くしたい。
そこで私にしては珍しくあえぎつつ中岳をめざす。


山頂到着6時40分。5人ほどの方の中にマルワイさんがいた。
マルワイさんは昨夜から入山し、ずっと御池や中岳、天狗が城のあたりにいたらしい。
私が着いたときには三脚に1台のカメラを固定しインターバル撮影中だった。
私も急いで三脚を立てて撮影を始めた。



ガスが流れ大船山が姿を現した。



黎明の空に先ほど撮影した月と金星がまだ光っている。



やがて7時7分に朝日が昇ってきた。
(望遠レンズで撮影)


今までも望遠レンズは一応持っていた。
だが重さが1.5㎏もあり、山に持ってくる気にならず、
しかたなく年に数度、職場の行事で使うだけになっていた。
今回新しく購入したレンズは「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」。
重さは570g。以前のレンズの3分の1だ。



わずかに染まった霧氷越しにガスかかる大船山と白口岳を望む。



すっかり明るくなりガスもほぼ晴れた。
霧氷越しに大船山を撮影。



天狗が城を振り返るとまだガスの中。
こちらにはゴマさん・ムギさん・ミッチさんがいるはずだ。



しばらく眺めているうちにこちらもガスが晴れた。
霧氷でわずかに白くなっている山々を撮影した。



まだまだ撮影を続ける。
今度は朝日を浴びた霧氷越しに大船山を。



久住山の向こうに阿蘇五岳が見える。
今までの広角レンズだとここまで。



望遠レンズだとここまで寄れる。



ツクシゼリに着いた霧氷。
だがこれはマクロレンズで撮影した方がよかったかもしれない。



霧氷原を切り取ってみた。


やがて天狗が城で夜明けを迎えたみなさんが到着し賑やかになった。
聞けば天狗が城では中岳との間にガスが流れ続け、夜明けは見られなかったそうだ。
私はマルワイさんにつられて中岳に来たおかげで朝日を見ることができ、ラッキーだった。
マルワイさんは何度も天狗が城と中岳を往復して(昨夜からの入山だからできることだ)、
「今日は中岳の方が良さそうだ」と判断したとのこと。
私は苦労もせず、その結論だけをいただいたということになる。
マルワイさんに感謝!


皆さんと談笑しているとご夫婦が山頂に到着した。
そのご夫婦が私に「もしかして九重連山を歩くの方ですか?」と話しかけてくれた。
「そうですけど」と私。するとお二人は「5年前からファンなんです」と言う。
(この会話をHPに記載するのはかなり気恥ずかしいのだが、本当のことなので仕方がない)

それにしても、一体どうして私だとわかったのだろう。そう思い尋ねてみた。
すると、ザックと着ているダウンの色でわかったのだそうだ。
今までわずか数回、昼ご飯を調理しているときに話しかけられた経験はあるが、
まさか何もしていないときに服の色で声を掛けられるとは思っていなかった。



熊本からいらしたTさんご夫婦と一緒に記念撮影。
ゴマさんにカメラを渡し、シャッターを押してもらった。
しまった、私もザックを背負うんだった。


Tさんご夫妻は1ヶ月に1度くらい山行しているそうだ。
またくじゅうのどこかでお会いしましょう。


Tさんご夫妻が先に下山した後、
山仲間のみなさんと昼食をどこで食べるか相談した。
山頂は風が吹いて寒いので池の小屋に下ることになった。



周囲に広がる霧氷の中を下っていく。



いつものポイントで御池を見下ろす。
ゴマのように小さく見えている2人は先ほどのTさんご夫妻だ。



私たちは池の小屋に到着。
久住山避難小屋のように新築はされていないけれど、
冬の山行でこれほど頼りになる存在はない。


小屋に入ってまずしたことは、テーブルを作ること。
小屋の隅に置いてある角材を井形に組んでいく。
その上にこれも隅にあったベニヤ板を乗せれば完成。
時間にして1、2分だろうか。
完成したテーブルの上で思い思いに昼食作りが始まった。



今日の食材。
玉ねぎのみじん切り、ベーコン、ミートソースにとけるチーズ。
これで作るのは朝食メニュー。
朝駆けしたからには朝食を食べなければ。



トマトリゾットの完成。


食事の後はデザートタイム。
まずはミッチさんが切って持ってきてくれたリンゴを焼いた焼きリンゴ。
温かくて甘くてやわらかい。(うっかり写真を撮り忘れた)



次は私が持ってきた焼き芋を網焼きして温める。



熱々ではなかったが甘くておいしかった。
さらにその後もコーヒータイムと続く。


さて、小屋に入って1時間以上経っている。
そろそろ御池に下りましょうか。



ガスは晴れたものの上空は薄曇り。



御池に下ると湖面がわずかに凍結していた。
だが、写真だと単に波立っているとしか見えないかもしれない。
動画なら波が動かないから凍っているとわかるんだろうな。



氷はまだ薄いので上に乗るのはこわごわだ。


みなさんザックを下ろして氷の撮影を始めた。
そこで私もやってみることにした。





岩の隙間に、ほぼ等間隔に穴が空いたように見える板状の氷がある。
ミッチさんに「九歩さん、どうしてこんな穴が空くの?」と聞かれた。
そんなことを私に聞かれても…と思ったが、一応観察してみることにした。



横から観察してみた。
穴に見えたところには、下に氷の柱ができており、
それが地面に繋がっているのだとわかった。


もっと調べるため、一部氷をはがしてみた。



ひっくり返すとこうなっている。



はがした下はこんな感じ。


私の予想はこうだ。
北風に吹き寄せられた水が岩の隙間に盛り上がって凍った。
その後温かくなり、その下に水がやってきて融けていった。
すると当然水面は水平なので、板状の下の部分は水平に融けていく。
その後板状の氷の下に隙間ができ、氷が融けていくのだが、
水平になっているのであちこちからほぼ等間隔に水がしたたり落ちていく。
その場所につらら状の突起物ができ、周囲の水がその部分に集まって下に伸びていく。
それが地面にまで伸びて出来上がり。
ミッチさん、こんな感じでどうでしょうか?
(もちろんこれが正しいかどうかは全くわからない)



御池で1時間以上過ごした。
こんなこと、私1人ではありえない。
でもマルワイさんはいつも1人で何時間も過ごしているんだろうな…



久住分かれにて。



撮影中の私。
ミッチさん撮影(たぶん)



晩秋のくじゅう(前回も撮ったけど)



望遠を持っていると撮りたくなる。
買って正解だった。
というより、もっと早く買うんだった。


久住山避難小屋の前で小休憩。
暖かくなったためセーターとダウンをぬぎ、厚手のウインドブレーカーを着る。



星生崎下より振り返る。



それを撮影中の私。
ゴマさん撮影(たぶん)



扇ガ鼻分岐にて。



沓掛展望台まで下ってきた。
次に来る時にはこの風景が真っ白になっているといいな。


今日もみなさんと一緒に楽しく歩けた。
マルワイさん、ゴマさん、ムギさん、ミッチさん、ありがとうございました。

火曜水曜あたりから強い寒気がやってくるらしい。
雪が積もることを期待して過ごしましょう。
そんな会話を交わして解散した。


一緒に山行したみなさんの活動日記もぜひご覧下さい。
マルワイさん
ゴマさん
ムギさん
ミッチさん


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