三俣山

2010年7月19日

 前回の山行からちょうど1ヶ月ぶりの山行である。

 今年の梅雨は本当に雨が多かった。梅雨だから当然と言えばそれまでであるが、それにしても降り過ぎではなかったか。私は雨の日に登ることはほとんどない。だからせっかく土日とも休日出勤がないにもかかわらず、雨のために山行をあきらめた日もあり、あきらめきれずに沢水まで行き、かなりの勢いで降っている雨をながめながらあきらめてもどったこともあった。たまに平日に晴れたとて、仕事のある身では山行できるはずもない。
 そんなやりきれない日々だったのだが、ここにきてようやくの梅雨明けである。佐伯市ではまだ雨が続いていて梅雨明けしていないのだが、九重連山は梅雨明けの青空が広がっていることだろう。午後には雨が降る不安定な天気のようだが、それでも午前中に晴れてくれればOKだ。
 という状況で迎えた3連休であったが、3日間とも休日出勤(泣)。この職業のさだめとは思っているが、これはなんともつらい。そんな私を見かねてか、職場の先輩が「行ってこい」と言ってくれた。この先輩は同じ担当をしていて、私のHPもよく見てくれている。先輩いわく、「この3連休に行かんかったら、みなさん、病気でもしたんじゃないかと思うかもしれんで」。そういうわけで、先輩に感謝しつつ、1ヶ月ぶりの九重連山を楽しむことにした。

 で、出発前夜の夜9時。またもデジカメを職場に置き忘れてしまったことが判明した。これでは早朝に一度職場に行ってから九重へ向かうことになり、当然出発が遅くなるので無理はできない。久しぶりなので体力と筋力にも不安がある。そこで長者原から入山し雨ヶ池に向かい、ガスっていれば三俣山には登らず坊がつるからすがもり越経由で大曲へと周回するつもりで出発した。
 出発時の佐伯市は雨が降っていたが、九重連山が近づくときれいに晴れている。これは三俣山に登らなければ。あっさりと雨ヶ池から南峰へ登るルートに変更した。うれしい誤算。前回の山行から1ヶ月も経ってしまったため、ずいぶんと季節の移ろいを感じつつ、登路脇の花々を撮影しながらのんびりと雨ヶ池をめざす。雨ヶ池ではノハナショウブが咲き乱れていた。雨ヶ池からは、何度か休憩してはあえぎつつ、ようやく南峰に到着。いつもの坊がつるを見下ろすテラスに着き、親子丼を二口三口食べたとき、登ってきた男性が「九重連山を歩くの方ですか」と声を掛けてきてびっくり。いつも見てくれているという延岡のYさんであった。Yさんと談笑しながら昼食を食べ、時折ガスのかかる山々を眺めながらコーヒーを飲む。やはり山はいいなあと独り言。
 Yさんたちを追うように本峰へ。本峰でYさんたちと別れ、雨に遭わないようにと早めに下山した。

6:55長者原→8:30〜8:40雨ヶ池→9:40北峰分岐→10:10〜11:25南峰(昼食)→11:40本峰→11:55西峰→12:15すがもり越→12:55大曲→自転車で長者原に下る


すっきりと晴れた青空を見上げながらタデ原の木道を歩く。
ハンカイソウ越しに三俣山を望む。
九重連山にも夏が来た。


ノハナショウブ


タデ原を抜け樹林帯に入る。
すぐにオカトラノオを見つけた。


久しぶりに歩く九重連山はやはり気持ちがいい。



指山自然観察路との分岐に到着。
このあたりはヤマアジサイの多い場所だ。


ヤマアジサイ


シモツケ


チダケザシ


大土石流跡を越え、雨ヶ池が近づいてきた。



ウツボグサ。
どことなく青い目のドクロのようにも見えるのがおもしろい。


ノリウツギはようやく咲き始めたところだ。


雨ヶ池に到着。



そよ風に揺れるイブキトラノオ越しに三俣山を見上げる。


ノハナショウブの大群落


これはやっぱり青空でなくっちゃ。


タデ原ではうまく撮影できなかったが、ここにも咲いていてくれていた、キスゲ。
これで十分満足だ。


さて、いよいよ三俣山に取りつくことにする。


すぐ上にある天ヶ池のあたりは水がたまっていて歩きにくい。
うっかりすると靴が泥水に埋もれてしまう。



そんな登路にもいいことがある。
そこかしこに咲いていたコバギボウシ。


今日は1ヶ月ぶりの山行。
その間トレーニングなど何もしておらず、体力が衰えているのは仕方がない。
何度か立ち止まり、あえぎつつ登る。



ようやく北峰分岐に到着。


一息ついてから辺りを見回すと、木々の向こうに大船山が見えた。


南峰をめざす。ここからもうひとがんばりだ。



咲き始めたノリウツギ越しに北峰を望む。


南峰に到着し、すぐにいつものテラスに向かう。


テラスには誰もいなかった。
ガスかかる大船山、そして坊がつるを見下ろす。


次々とガスが押し寄せる中、時折晴れる一瞬。
緑が濃くなった山々を見て、九重連山にも夏がやってきたんだと実感した。


今日の昼食は親子丼とオレンジ。
そういえば、いつだったかこの場所で親子丼を作るつもりが、
卵を忘れて悲しい昼食になったことがあったっけ・・・。


二口三口食べたとき、今このテラスに着いたばかりの男性が、「九重連山を歩くの方ですか」と声を掛けてきた。
今まで昼食を撮影した後に声を掛けられたことはあった。風景をバックに食事を撮影するなどということは
私ぐらいだろうから、その様子を見て私だと気づいたのならそれはそれでわからないでもない。
だがこのときはその様子は見られていないはず。
「どうしてわかったんですか?」と尋ねると、なんと「コッヘルです」とのこと。このコッヘル、そんなに特徴があるのだろうか?
ともかく、いつも私のHPを見てくださっているという、延岡のYさんであった。
楽しく談笑しながら昼食をとった。「大崩山はいいですよ。アケボノツツジは最高です」とお誘いをうけたが、
残念ながら私は九重連山ひとすじ。おまけに高所恐怖症で、とても大崩山には登れそうにない。

親子丼を食べ終え、風景を眺めながらのんびりとコーヒーを飲む。このひとときがたまらない。
「やっぱり山はいいなあ」と独り言。



Yさんたちが下山するようだ。そろそろ私も下山するとしよう。



Yさんたちの後を追うように本峰までやってきた。
ここでYさんたちと別れ、西峰へ下る。



西峰に到着。
小さな2人の女の子を連れた若いお父さんが荷物の整理をしているところだった。


おねえちゃんの方が「おとうさん、先に行くね」「うん」という会話を聞くともなしに聞いた。
なんとなく気になって、私は撮影した場所にとどまって3人の行動を見ていると・・・
幼い2人は本峰方面に下っていく。それも本来のルートからはずれた細い踏み分け道だ。
三俣山にはそんな踏み分け道が無数にある。
だんだんと遠ざかっていく2人。ところがお父さんはというと、風がじゃまするのか、
なかなかシートをたためない。やっとシートをたたみ、ザックに入れようとしている頃には、
2人はさらに下り、お父さんの視界から全く見えなくなろうとしていた。
さすがに「これはまずい」と感じた私は2人に「お父さんと離れるとあぶないよ」と声をかけ、
上に上がってくるように伝えた。ちょうどそのとき、その若いお父さんはこちらを見ることなく
まっすぐすがもり越の方へ下ろうとしているところだった。
「娘さんはここにいますよ」と声をかけた。娘さんを見つけたおとうさん。何事もなかったように
おそらくは長女の名前を呼び、「そっちじゃないよ。はやく上がっておいで」と・・・。
もし私が2人を止めなかったらどうなっただろう?娘の姿が見えないことに気づいたお父さんが
大声で呼び、それに返事した娘の声で居場所がわかり・・・ということになったかもしれないが、
もしどちらかがパニックになってしまったら、もしかしたら遭難事故になったかもしれない。
山は一つ間違えば大事故につながってしまうところだ。これから夏休みになり、思い出づくりに
登山を楽しむ家族も多いだろうが、どうか安全には十分注意してもらいたいと思う。



すがもり越まで下ってきた。「愛の鐘」を撮影。
このときには気づかなかったが、よく見ると鐘にかわいいてるてる坊主が・・・。


まだ上空には青空が広がっているが、久住山方面からガスが押し寄せてくる。
雨が気になるので早々に下山することにした。



正面に見える黒岩山のきれいな緑を見ながら大曲へと下った。


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