大船山
2012年2月5日
2月2日(木)、私の住む佐伯市でも珍しくかなりの雪が降った。日陰では翌日も雪が残っていたほど。
佐伯市でこれほど降ったのだから、山では相当な積雪になっているはず。これは雪深い大船山に登るチャンスである。
土曜日は絶好の晴天だったが、残念ながらいつもの休日出勤で山行不可能。
日曜日は「朝は晴れだが下り坂」との予報で、なんとか天気はもちそうである。そうなればやはり行くしかない。
天気が崩れる前にということで早朝6時過ぎにヘッドライトを点けて入山。
登路にはやはり雪が残っている。その雪の上に単独登山のトレースが一つ。
徐々に深くなる雪を楽しみながらゆっくりと登る。やがて東尾根ルートの分岐に到着すると、トレースもそちらに伸びている。
東尾根ルートの難所は最後の急登。あえぎつつ登り、なんとかクリア。だがもしトレースがなかったら登れなかったかもしれない。
山頂に到着したが九重連山は雪雲に覆われる寸前。30分ほど前までは晴れていたらしい。残念。
風も強くおまけに雪までちらついてきたため、御池に下って昼食。
結氷した御池のほとりでうどんを食べてようやく暖まった。
雪が降り続ける状態では長居は無用。撤収して下ることにした。
6:15今水→7:25東尾根ルート分岐→8:00ポールのある台地→9:35〜10:55大船山・御池(昼食)
→12:10鳥居窪→12:45岳麓寺分岐→(コンクリート道ショートカット)→13:35今水
2月2日は南国佐伯市でも雪が降った。佐伯市では雪がちらつくだけでも珍しいのに、この日は積もったのだからめったにないこと。
私の職場でも大いに盛り上がったが、私はひそかに別のことを考えていた。それは、「山ではもっと積もっているだろうな」ということ。
どこへ登ろうかと考えつつ、週末の天気予報をチェックしながらの日々であった。
土曜日は移動性高気圧に覆われ絶好の登山日よりだったが、残念ながらいつもの休日出勤。
今回は外部から大人数がやってくることもあり、8時から準備。とても登山どころではなかった。
さらに午後も職場に残り、来週に締め切りの迫った文書の作成に集中。
もちろん、日曜日に心おきなく山行するためである。こんなときは集中力が続くから不思議だ。
日曜日の天気はあいにくの下り坂。だが朝は晴れるとのこと。となればやはり大船山だ。
雪深い大船山は私の念願。できれば凍った暮雨の滝を見て(それはなかなか難しい)、坊がつる経由で段原から向かいたい。
でも吉部は佐伯市からは遠く、アプローチに時間がかかる。翌日が勤務日であることも考え、無難な今水から入山することにした。
登り始めるとやはり登路にはうっすらと雪が積もっている。
その上に一つの足跡が。大きさや歩幅から、男性だと想像した。
今水駐車場に車が停まっていたから、その持ち主に違いない。
登っていくうち、東の空が明るくなってきた。
雪は所々ふきだまっている。
こんな雪は佐伯市ではありえないので実にうれしい。
しかも先行者のトレースつきである。
やがて東尾根ルートの分岐に到着。
先行者のトレースは東尾根に伸びていた。
右に直進すれば風穴、左に折れれば東尾根である。
ポールのある台地に到着し大船山を見上げる。
上空には薄雲が広がるものの、青空が見える。いい気分だ。
さらにマイペースで登っていく。
右側に黒岳が見えてきた。
木々の茂る黒岳は雪が降っても黒々としている。
雪の積もった東尾根を登っていく。
見上げると木々の向こうにめざす大船山頂が見えた。
根こそぎ倒された木を発見。
それだけ風が強かったのだろう。
雪は徐々に深くなる。
周囲の展望が開け、黒岳を望む。
遠くに由布岳の双耳峰が見えた。
やせ尾根の急登。
しっかりした木を選びつつ、慎重に登る。
さらに急登は続く。
トレースがあっても大変だ。あえぎつつ登る。
ここが最後の急登。慎重に、慎重にと言い聞かせながら登る。
ここはもしトレースがなかったら登るのをあきらめていたかもしれない。
登り終えてほっと一息。
山頂が近づき、さらに雪は深くなる。
やれやれ、ようやく山頂が見えた。
凍結した御池を見下ろす。山頂はもうすぐだ。
山頂に到着。今水より3時間20分。これはトレースのおかげ。
もしトレースがなかったら4時間で登れたかどうか。
それ以前に、体力の限界を超えて登るのを断念したかもしれない。
先行者に感謝感謝である。
早速、雪で装った九重連山を撮影する。
だがあいにくの曇り空。
山頂にいたご夫婦によると、30分くらい前までは晴れていたそうである。
残念、少し遅かったか。だが早朝に入山した結果なので、しかたがない。
今日は九重連山を一望できただけでよしとしよう。
続いて米窪と段原を撮影。
山頂の岩の上から御池を見下ろす。
風が強くて岩の上に立つことができず、ちょっと軟弱な写真になってしまった。
いつもであれば九重連山を眺めながら昼食とするのだが、風が吹いていて寒い。
さらに雪まで舞ってきた。これでは山頂での昼食は厳しい。
そこで、御池に下って食べることにした。
凍結した御池の畔に下ってきた。
わずかに足跡が残っていた。もしかするとトレースを残した方かもしれない。
この景色を見ながら昼食準備にとりかかる。
寒い上に風が吹き、なかなかお湯が沸騰しない。
自分はなぜこんな寒いところでうどんを作っているのだろう。
おまけに雪が降り続いている。
自分がなんだかとんでもない変わり者に思えてきた・・・
お湯が沸騰するのにも時間がかかり、さらにうどんを入れてからも時間がかかった。
それもそのはず、うどんを雪の上に袋ごと置いておいたため、冷え切っていたのだ。
ようやくできあがったうどんを食べ始める。
まさにその時、単独登山の男性が御池に下ってきた、
「こんにちは」と挨拶を交わした次の一言は、同時に発した「寒いですねえ」であった。
うどんをすすり、暖まってほっとした。
ほっとしたのもつかの間、さらに雪は降り続き寒さが身に染みる。
デザートの用意もしてきたのだが、今日は早めに下った方が賢明なようだ。
最後にきれいな湖面を撮影。ここではさすがに石を投げる人はいないようだ。
再び山頂に戻って九重連山を眺めると、山々は雪雲に覆われていた。
さて、下山するとするか。
下りはガラン台ルートと決めていた。山頂直下がその分岐点。
ところがそこまで来て驚いた。トレースがない!
私は先行者がガラン台ルートで下山したものだと思っていた。
ここを下ったのではないとすると、どこを下ったのだろう。
東尾根ルートを引き返したのだろうか。
追記その1。
数日後、Sさんからメールをもらった。
そう、トレースの持ち主からである。
登ったのはこの日早朝ではなく、前日だという。
今水から東尾根ルートで大船山に登り、その後は坊がつるに下って法華院に宿泊したとのこと。
なるほどガラン台へのトレースがないのは当然だ。
よかった。これで謎が解けた。
トレースがないとなると、便りになるのは目印のテープだけである。
20pほど積もった新雪を踏みながら下る。
これは実にいい気分だ。
この寒さと雪の中でも、御仏は穏やかにほほえんでいる。
今年の無事な山行を祈って手を合わせた。
雪の上にトレースを残しつつ下っていく。
やがて見晴らしの良い岩場に到着した。
小休憩し、さらにゆっくりと下っていく。
やがて2組の登山者とすれ違った。
トレースの残る登路を下る。
鳥居窪に到着し大船山を振り返る。
ところがこの後、登りのトレースに混じって下りの足跡があることに気づいた。
山頂からはトレースはなかった。では一体、この人はどんなルートで下ってきたのだろう?
追記その2。
メールをくれたSさんのことは記した通り。
だとすると、この足跡は一体誰の足跡なのだろう?
新たな謎が生まれてしまった・・・。
入山公墓前を通過。
岳麓寺ルートとの分岐に到着。やれやれ。
ここを左に向かい、今水へと下っていく。
やがてコンクリート道のショートカットに向かう。
コンクリート道にはトレースがない。
下りながら自分のトレースを振り返る。
今日もまた、無事に山に登ることができたことに感謝しよう。
今水に下り、駐車場に向かう途中、笑顔のわんちゃんが出迎えてくれた(笑)。
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