久住山・稲星山・中岳・天狗が城

2018年4月8日

金曜日にこの時期にしては強い寒気が訪れ、牧ノ戸駐車場には薄く雪が積もっている。
しかも8日(日)は天気が良さそうなので牧ノ戸からの入山とした。

牧ノ戸を早朝出発。上空はすばらしい青空。久しぶりの雪の感触を楽しみながら気持ちよく歩いていく。
ところが少しずつ雲が広がってきて、西千里浜を歩く頃には、空はすっかり雲に覆われてしまった。
展望を期待して久住山へ向かったものの、山頂に着いたときには時すでに遅く、展望はなかった。
久住山を後にして御池に向かう。御池のほとりでYさんと出会い、巨大な霧氷を撮影して池の小屋へ。
さっそく昼食。単独男性が言うには、今日は稲星山頂で開山祭が行われるのだそうだ。
やがてご一行が小屋に到着。みなさんと一緒に出発し稲星山に向かう。
山頂に着くと開山祭が始まった。再び青空が広がった山頂からの風景を撮影して中岳へ。
中岳山頂で風景を撮影し、Yさんは御池に下り、私は天狗が城へ向かう。
Yさんと天狗が城下で合流して、さて下りますか、と歩き始めたときにトラブル発生。
「これはやってしまったかな」と直感。必死の思いで牧ノ戸まで下った。


5:40牧ノ戸→6:05沓掛展望台→7:20扇ガ鼻分岐→7:50久住山避難小屋前→8:25~8:45久住山→9:00御池
→9:15~10:30池の小屋(昼食)→10:55~11:20稲星山→11:45~11:55中岳→12:15~12:20天狗が城
→13:00~13:20久住山避難小屋前→13:55扇ガ鼻分岐→14:45沓掛展望台→15:05牧ノ戸





新年度が始まった。職場では新しい配置でそれぞれ新年度の準備がスタートした。
私の新年度の配置は昨年度と似たようなもの。休日出勤も今まで通りにある。
2日から6日まででかなりの準備が整い、7日(土)はいつもの休日出勤。
そんな折、6日(金)にこの季節にしては強い寒波がやってきた。
ネットで確認すると牧ノ戸駐車場にうっすら雪が積もっている。
そこで、今季最後の雪景色を楽しむべく、牧ノ戸から入山することにした。



早朝5:40に入山。
うっすらと積もった雪を踏んで歩いていく。



第1展望台に上がり沓掛山を見上げると、マンサクと霧氷のコラボがお出迎え。
ネットでは見たことがあるが、実際に自分の目で見るのは初めてだ。



沓掛展望台に上がり阿蘇五岳を撮影。
こちらもわずかに積雪しているようだ。



沓掛の岩場にて朝日射す尾根道を俯瞰する。
よく晴れた青空がうれしい。



アセビの花にも雪が積もっている。



朝日を受けて輝く霧氷越しに星生山を望む。
雪が積もっているのはネットで確認したが、霧氷まであるとは思わなかった。



星生山に日が射しておらず暗いのだが、その分霧氷が輝いて見える。



霧氷越しに星生山を望む。やっぱり霧氷と青空は最高だ。



扇ガ鼻分岐より星生山を望む。



ところが、西千里浜を歩いて行くうち、雲が広がってきてしまった。



やがて見えてきた久住山の上空にはまだ青空が残っている。



星生崎下より霧氷越しに久住山を望む。
久住高原側はよく晴れている。



星生崎を見上げる。



久住山避難小屋を見下ろすポイントにて。
久住山、天狗が城、中岳を望む。
雲が広がってきているが、これ以上広がらないだろうな…



避難小屋前で岩に腰を下ろしてわずかな休憩。
いつもなら御池方面に向かうのだが、今日はまだ青空の広がる久住山にまず向かうことにした。



久住分かれにて三俣山を望む。
こちらも上空には雲が一面に立ちこめている。



久住山に向かいながら中岳方面を見ると、中岳はガスで見えなくなってしまっていた。
これは久住山もそのうちガスに覆われてしまうかもしれないぞ。


とは言え急ぐ元気もなく、マイペースで登っていく。
ガスったときはそのときだ。



で、到着した久住山頂はガス(笑)。当然展望はない。


私のすぐ後に2人の若い男性が到着した。
聞くと名古屋から、友人の結婚式のついでに登ってきたとのこと。
「シャッターを押して下さい」というのでカメラを構えると、なにやらタオルのようなものを広げ始めた。
見ると「Great Charenge」と書いてある。
会社の登山部で最近百名山を始めたのだそうだ。
職場で登山部かぁ…。そう言えば昨年度はうちの職場にも登山クラブがあったっけ。
目標なんてな~んにもなく、ただそれぞれが行きたいところに行くという、実にゆるい集団だった。
まあ、それが楽しかったのかもしれない。


「大曲から久住山に登るつもりが間違って三俣山に登ってしまったから、今1時間押しです」という2人を見送った。
その後は展望がない山頂に長居してもしかたがないので、私も次の御池に向かうことにした。



山頂のガスがわずかに薄れ、久住高原が見えた。



空池の縁を御池めざして歩いていく。



御池に到着すると、やはりほとんど凍結していない。
ほとりに佇む男性が、「あれっ?」という顔で私を見た。久しぶりに会うYさんだ。
いつものように赤川から登り、久住山から中岳、天狗が城あたりを歩いていた最中らしい。



Yさんが「すごい霧氷がある」というので見ると、なるほどこれは巨大な霧氷だ。



たぶん強風にあおられた池の水が枝に張り付いて凍ったものだろう。



池の東側の周辺部には吹き寄せられたように氷の破片が集まっている。
もちろんこの上に乗ってみようなんて無謀なことは考えなかった。



御池を過ぎ、このガスの中、行くところと言えば池の小屋しかない。


中には単独男性が時間調整中。後でわかったのだが、この男性、「九重の四季」の方だ。
数年前に何度かお会いしていて「もしかするとそうかも」と思ったのだが、声を掛ける勇気がなかった。



今日は山頂はガスっているので、ここで昼食。
雪山なので冬メニューのうどん。



うどんを作っている間にどこから出てきたのか、子ネズミが現れた。
私たちに怖がる様子はなく、人に慣れているようだ。
男性がチョコを置いておくと、サッと持って行く。
きっとどの登山者もこんなふうに優しく餌をあげているのだろう。
そうでなければこの冬にこんなに丸々と太っているはずがない。



揚げ玉たっぷりネギたっぷりのきつねうどんが完成。


食べながら男性の話を聞くと、今日は稲星山で開山祭が行われるそうだ。
法華院山荘から山伏ご一行がやがてこちらを通過するのではという。
うどんを食べ終えてコーヒーを飲んでいる頃、「ようこそ九重連山へ」のN氏が到着。
「もうすぐ山伏さんたちが到着しますよ」という。
急いで小屋を出てみると…



山伏さんご一行が小屋に到着した。


開山祭は11時からだそうで、まだ早いので小屋で時間調整するようだ。
その間に私は昼食の撤収を急ぐ。



やがてご一行の後を追って稲星山へと出発。
幸いにもガスが晴れ、少しずつ青空が覗くようになってきた。



稲星山の斜面を登っていく。



やがて開山祭が厳かに始まった。
般若心経から始まり、祝詞が読まれて、開山祭は終了。



こちらは不動明王像だそうだ。


参加者全員にお札とテナントが配られ、私もはじめていただいた。
何しろ山開きというものに参加したことがなかったので、実に新鮮な気分だ。



役目を終えられ、山伏さんたちが下山していく。



気がつけばガスはすっかり晴れ、青空が再び広がっている。



稲星山名物、ガメラ越しに大船山を望む。


さて、山頂を後にしよう。
Yさんに「どうしますか」と訪ねると、もう一度中岳に行きますとのこと。
先ほどはガスで展望がなかったから、と言うが、私なら1日に2回も同じ山には登らない。
さすが健脚のYさんだ。



中岳下より山頂を見上げる。
ここはマイペースで登るに限る。



山頂に到着し、一面の霧氷越しに大船山を望む。
霧氷と青空が最高だ。



中岳の斜面に広がる霧氷越しに久住山方面を望む。
今日こんな風景を見られるとは思っていなかった。
今日、来てよかった。



霧氷越しに三俣山を望む。



撮影を終えて「Yさんは?」と探すと、霧氷の中に佇んで風景を眺めていた。


いつもならこの山頂で昼食を食べながら1時間以上過ごすのだが、今日はすでに昼食を済ませている。
そろそろ次に行くことにする。



鞍部より中岳を振り返る。
真っ白な霧氷と、上空に広がる青空。
遠くには大船山が見えている。


ここからYさんは御池に下り、私は天狗が城に向かう。



「ようこそ九重連山へ」のN氏が定点観測する岩の上より。



天狗が城山頂に到着。



先ほど撮影した御池を山頂から見下ろす。
少し歩いただけで同じ風景が違って見える。



霧氷の斜面越しに三俣山を望む。



中岳と大船山を振り返る。



星生山を望む。
さほど白くはないが、この風景を見ても「今日はいい山だなあ」と実感。



山頂から下りながら、御池越しに稲星山を望む。


天狗が城を下ったところで御池経由のYさんと合流。
では下りましょうか、と歩き始めたそのときである。


踏み出した右足が、たぶん浮き石を踏んだのだろう、前方にずれ、
左足が残ったままその場に股裂きのような状態で倒れ込んでしまった。
ちょうど陸上選手がハードルを越えるときの空中姿勢のような感じだ。
倒れ込むと同時に、左足首に激しい痛みを感じた。
倒れた状態のまま、すぐそばにいるYさんに、「やっちゃったかもしれません、ちょっと待ってもらえますか」と言い、
数分間、足を伸ばしてじっと痛みが引くのを待った。



これが、痛みが引くのを待っていたときの写真。
急斜面でもなく、石が多いとはいえ「ガレ場」と言われるような歩きにくいところでもない。
それなのに、ほんの一瞬気を抜いてしまった…。


数分間、Yさんと「ここならヘリを呼んだら来てくれそうですね」と冗談半分で話す。
「でもまだ風が強いから大丈夫かなあ?」とYさん。
もちろんヘリを呼ぶのは最後の手段だと思っていた。


数分後、痛みは引かない。でも、左足首をゆっくりと動かしてみると、動く。
足首が動くということは、アキレス腱は切れていないようだ。
右足を使ってゆっくり立ち上がり、両足で立ってみると、立てる。
最後に左足に全体重を掛けてみると、なんとか片足でも立てた。
もちろん痛みはあるが、これならなんとか自力で下山できそうだ。


左足をかばいながら、ゆっくり下山を開始。
Yさんが私に合わせて後ろをついてきてくれる。



久住分かれより三俣山を望む。
すっきりと晴れた青空。遠く由布岳も見える。



久住山避難小屋前でYさんと並んで岩に腰を下ろし、久住山を見上げる。
阿蘇五岳も多少霞んでいるがはっきりと見えている。
「今日は逆転に次ぐ逆転の日でしたね」「ほんとに」。
ガスって小屋にいたときには、これほどまでいい天気になるとは思っていなかった。


さて、下ることにしよう。



雪が融けて田んぼ状態になった西千里浜を下る。
いつもであればこの泥濘が気になってしょうがないのだが、今日は違う。
ぬかるみよりも左足の痛みが気になり、靴が汚れることなんてどうでもよかった。



ケルンの並ぶ西千里浜を下っていく。



扇ガ鼻分岐まで下ってきた。
赤川から入山したYさんとはここでお別れ。
Yさんは「牧ノ戸まで一緒に下りましょうか?」と言ってくれたのだが、
なんとか自力で下山できそうだったので丁寧にお断りしたが、
Yさんのお気持ちは本当にありがたかった。



ようやく沓掛山が見えてきた。もう少しだ。



沓掛の岩場で尾根道を振り返る。
朝は雪山だったのに、今はまさに春の山だ。



第1展望台より沓掛山のマンサクを振り返る。


「あと少し」と思うからだろうか、ここからのコンクリート道がやたらと長く感じられた。



まさに「ようやく」の思いで牧ノ戸登山口にたどり着いた。


幸い痛むのは左足なので、車の運転に支障はない。無事に佐伯市の自宅に帰宅。
さすがに今回は妻に報告。翌日病院に行くつもりであることを伝えた。
その翌日、半日の有給休暇を取り、整形外科で診察を受けた。
診断結果は「骨折」であった。



これがCTスキャン画像。医師の了解を得てスマホで撮影したもの。
腕と同じように足には2本の骨があるが、その細い方の骨が斜めに折れている。
多少ずれているのは2時間歩いたためかもしれない(これは私の感想)。
だが骨折した状態でザックを背負ってよく2時間も歩いたものだと、自分をほめてしまった(笑)。


医師の診察では、ギブスが取れるまでに4週間。
さらに全体重をしっかりかけられるようになるまでさらに4週間かかるとのこと。
つまり2ヶ月は登山できそうにない。
ショックはもちろんだが、意外にもサバサバした感じが心にある。
それは、今回の骨折が登山中に起きたことが一番大きいと思われる。
これが、もし他のことで骨折していたら、悔やんでも悔やみきれない。
でも、登山中に起きた(しかも自分の不注意で)のであれば、それは受け止めるしかない。
2ヶ月かけて、しっかりと直すだけだ。
山はその後、また登ればいい。
「山は逃げない」のだから。


というわけで、少なくとも2ヶ月は山行できなくなってしまった。
今年の春の花たちには直接会うことはできなくなった。
ミヤマキリシマもネットで楽しむことにしよう。
ゴマさんと約束していたあの山行やこの山行も今年はおあずけだ。




そういうわけで、私のHPの更新は約2ヶ月間ストップする予定です。
その間、掲示板でのでのやりとりはもちろん続けますし、
数年間凍結状態のブログも解凍しようかと思っています。
みなさんとまたお会いできる日を楽しみにしながら、治療に専念します。
そして、約2ヶ月後、私は必ず九重連山に戻ってきます。
それまでしばらくお待ち下さい。


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